仲良しペアが全国制覇 和歌山北高ボート部

「ボートの甲子園」と呼ばれる全国高等学校選抜ローイング大会の「女子ダブルスカル」で、県立和歌山北高校ボート部3年の吉村美紅さん(17)、村上葉留さん(17)ペアが優勝し、全国制覇を果たした。夢にまで見た優勝を勝ち取った2人は「これまで大会では『負けて悔しい』という思いしかなかったが、勝たないと分からないすてきな景色を見ることができた」と喜んでいる。
大会は3月末に静岡県浜松市で開かれ、全国8地区のブロック予選を勝ち抜いた24クルーが2000㍍のコースで順位を争った。
同部では昨年の高校総体で吉村さんが先輩とペアを組み、全国2位を勝ち取った。
新チームとなり、吉村さんがペアを組んだのは同級生の村上さん。2人は小学5年生からボートを始め、大会や練習で切磋琢磨(せっさたくま)してきた間柄で大の仲良し。優勝に一歩及ばなかった昨年の悔しさから「次こそは絶対に勝つ」と力を合わせ、厳しい練習を重ねてきた。
日頃からよく話したり、互いの家で遊んだりするという2人。仲が良くても艇の上では別で「オールを入れるタイミングをもっと早くして!」などと、思っていることを言い合うという。
そんな2人は急速に力を伸ばし、近畿地区予選では2位に10秒以上の差をつけて圧勝。今大会決勝では序盤からリードを保ち、後続に5秒の差をつけて8分07秒02のタイムで優勝した。ゴール後は艇の上で握手し、ハイタッチ。降りてから「ありがとう」と抱き合ったそう。
その後、2人は5月に滋賀県大津市で行われた国内最大規模の大会「第76回朝日レガッタ」の高校女子ダブルスカルでも、圧倒的な速さで優勝した。日韓親善代表クルーのメンバーにも選ばれ、韓国で7月9日から11日まで開かれる「忠州レガッタ大会」に向けて練習に励んでいる。
また、村上さんは海や大きな湖などのオープンウォーターでこぐ、新しいローイングスポーツ「コースタルローイング」のU19日本代表選手に選出された。10月にブラジルで開かれる「2025World Rowing Beach Sprint Finals」への出場が決定している。
顧問の田中大誠教諭は「優勝したことによってプレッシャーが大きくかかるが、慢心せずやらなきゃいけないことを徹底すると結果はついてくる。その経験を人間としての成長につなげてほしい」とエールを送っている。