和歌の浦干潟保全 ラムサール条約登録へシンポ

和歌山商工会議所地域開発委員会は、和歌山市西汀丁の同所4階大ホールで和歌の浦干潟のラムサール条約登録に向けたシンポジウムを開いた。「干潟を活かした地域づくりについて」をテーマに基調講演などがあり、同所や市の職員、一般などから約40人が参加した。
基調講演では和歌山大学教育学部の古賀庸憲教授が、和歌の浦干潟に生息する生物について紹介し、「全国的に小さな干潟だが、面積から想像できないほどの豊かな生物相がある」と説明。全国的に減少している干潟の保全の意義や、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」を正式名称とする同条約の登録条件などについて話した。
奈良女子大学名誉教授で県立自然博物館の和田恵次館長は、和歌川河口域で行ってきた水底生物の調査研究を紹介。同河口域で現在は姿を消したシオマネキが、1970年代には多く生息していたことを挙げ、昔の文献や当時の和歌の浦の名物和菓子の一つ「汐(しお)まねき」など、当時を物語る資料を示した。
パネルディスカッションでは、同委員会の樫畑直尚委員長がコーディネーターを務め、古賀教授、和田館長、県立南紀熊野ジオパークセンターの本郷宙軌主査研究員、同委員会の杉本吉史副委員長が同条約登録に向け、それぞれの専門分野から議論を交わした。
樫畑委員長は「和歌の浦干潟は太古から先人が守ってきた自然の宝庫。持続可能な観光地を目指し力を尽くしたい」、古賀教授は「素晴らしい環境が残っている地域の良さを、地元の人々にもっと知ってもらい、地域一体となって実現に向かっていけたら」と話していた。