和大生の企画が三冠 商品化へクラファン

「子どもが思わず片付けをしたくなるおもちゃ箱を」――。和歌山大学経済学部・柳到亨ゼミの岩崎萌音さん(22)、久保有花さん(同)、堀栞汰さん(21)で結成されたチーム「Re:NK(リンク)」が、大学生が商品企画力を競うコンテスト「Sカレ2024」で、プラン優勝、テーマ・プラン1位、学生賞の三冠を達成。提案した「おもちゃぱっくん」を多くの人に届けるため、クラウドファンディングサイトで支援を募っている。9月13日まで。
Sカレは昨年12月に行われ、リンクは30大学の159チームの頂点に立った。「おもちゃぱっくん」は、クマのような形をした段ボール製の組み立て式のおもちゃ箱。口の部分からおもちゃを入れると、内部の仕掛けで腕がししおどしのように動き、まるで「食べてくれる」かのような遊び心満点の仕組み。親子で組み立てたり、絵を描いたりする楽しさも加わり、「自分だけのおもちゃ箱」が作れるのも魅力だ。
リーダーを務める岩崎さんは「楽しく片付け習慣が身に付けられること」も商品の魅力だという。昨年、2日間にわたる体験イベントを開催して100人以上の子どもたちが参加し、「めっちゃ楽しい」「これなら片付けする」などと大喜び。岩崎さんは「自分たちの考えたものが、子どもの笑顔につながったのを見てすごくうれしかったし、改めてもっと多くの人に使ってほしくなった」と笑顔で振り返る。
設計は岩崎さんと久保さんが担当。Sカレでは商品企画の実現可能性も問われ、それを高めるために堀さんは営業を担った。和歌山市内を自転車で駆け回り、何十社にも飛び込み営業などを行った。「最初は『うちはやっていません』と断られてばかり。でも2人が設計を頑張ってくれているから、僕もやらないと必死だった」と堀さん。その努力が実り、イオンモール和歌山の店舗などで販売の許可を得られた。
数々の困難を乗り越えて迎えたコンテスト本番。発表の順番は最後でかなり緊張したというが、チーム全員で「ここまでやったんだから、もう全力を出し切るしかない」と決意。そして見事、三冠達成。吉報を聞いた瞬間に「いろいろなことを思い出して、その場で気が付いたら3人全員が泣いていた」という。
しかし、三冠の喜びも束の間。商品化までの道のりは険しく、思い通りにいかない日々が続く。「チームですごく落ち込むこともあった」ものの、「自分たちは『おもちゃぱっくん』で多くの人のためになりたい」とすぐに再起。「絶対に商品化をする」と強い決意を持って、今回クラファンを立ち上げた。「まだ途中だけれどこの3人だったからこそ、ここまでやってこられた」と岩崎さんは言う。
目標金額は40万円だが、約10日がたった21日午後2時現在の支援総額は5000円で、「危機感を持っている」と3人。岩崎さんは「『おもちゃぱっくん』を多くの人に届けるためにご協力をよろしくお願いします」と呼びかけている。
支援は500円から可能。リターンは児童養護施設に「おもちゃぱっくん」を届けるプランなどさまざま。支援やリターン詳細などはクラファンサイト。問い合わせはリンクへメール(renkikhm4@gmail.com)。