持病でも楽しく弾丸旅行 小村さんの企画が最優秀

社会や地域の課題を発見し、主体的に解決を図る人材の育成を目指し、和歌山県が中学・高校生を対象に実施しているアントレプレナーシップ教育プログラム「チャレスピ2025」の最終発表会で、県立桐蔭高校1年の小村菜々子さん(15)のビジネスプランが最優秀賞に輝いた。
「チャレスピ2025」には27人の中高生が参加し、5~8月にオンライン中心の全10回のプログラムを実施。カードゲームや最新のAIツールを活用し、受講生は専門家や起業家らのアドバイスを受けながらビジネスプランを作成し、実践的なスキルを学んだ。学校の枠を超えた受講生仲間とのディスカッションも通じてプランに磨きをかけ、多くの刺激や気付きがある取り組みとなった。
最終発表会は10日に行い、15人が会場とオンラインで登壇し、出席できなかった参加者の発表動画も上映した。
小村さんのビジネスプランは「もう我慢しない!あなただけのお抱えAIコンシェルジュと一緒に彩る弾丸旅行!」。詳細な計画を立てず、思い立ったら出かける「弾丸旅行」は、糖尿病をはじめ持病で食事制限を余儀なくされている人にはハードルが高いが、「旅行中くらいは持病のことを忘れるくらい思いっ切り楽しめないか」との思いから、アプリ開発のプランを考えた。
ユーザーは持病の情報をアプリに入力しておき、旅行に行きたいと思ったタイミングで、下調べをせずに出発する。旅先で食べたいものを入力すると、AIが持病の情報を考慮した検索で候補を選び出し、店までのナビゲーションも行うというもの。
友井泰範副知事や和歌山イノベーションベース(WIB)に参加の経営者らによる審査で、最優秀の評価を受けた。
小村さんは21日には県庁を訪問し、宮﨑泉知事にも受賞プランをプレゼンテーション。「簡単な道ではないと思うが、一歩ずつ歩んでいって、最終的に実現した先で、このサービスを本当に必要とする方に弾丸旅行の楽しさを思う存分届けたい」と、今後の意欲を話した。
宮﨑知事は、にこやかに、堂々と明るく話す小村さんの姿に、「なんでそんなに度胸があるのか。発表が上手ですごい。恐れ入りました」と感服し、「素晴らしいセンスのプラン。ぜひ形にしてほしい」と激励。小村さんは「答えのない問いにどう取り組めばいいのか悩むことはあったが、最後まで走り抜けられて良かった。もっと探究したい気持ちになっている」と笑顔だった。