紀州材のバリケード 紀州東照宮に寄贈

紀州東照宮に寄贈された木製バリケードを前に西川宮司㊨と木下社長
紀州東照宮に寄贈された木製バリケードを前に西川宮司㊨と木下社長

和歌山県海南市で木材販売業を行う山一製材㈱(木下憲治社長)が紀州東照宮(和歌山市和歌浦西、西川秀大宮司)に、紀州材を使った木製バリケード「森のスタンド」を寄贈。23日に奉納報告祭が執り行われた。

同製品は、従来プラスチック製が主流だった工事・イベント用バリケードを木製に置き換えたもの。

和歌山大学と、きのくに信用金庫による共同デザインプロジェクト「未来事業」で、学生が提案したアイデアをもとに誕生。地域資源の活用と環境問題や社会課題の解決を目指し、同社と学生がチームとなって取り組み、ことし春に製品化した。

最大の特長は、紀州材にサーモウッド処理(水蒸気式高温熱処理)を施すことにより耐久性を高め、屋外でも長期間使用が可能な点。また、木材内部に炭素を長期間固定化でき、環境保全、SDGsにも寄与。さらに景観に調和するデザインで、神社や観光地など歴史的建造物の周囲にも溶け込める。絢爛(けんらん)豪華な社殿で知られる同宮は、朱塗の楼門、拝殿、本殿など7棟が国の重要文化財に指定されている。

この日は木下社長(56)が木製バリケードを持って同宮を訪れ、西川宮司(51)が拝殿で神事を行い、木製バリケードの奉納を神前に報告した。

西川宮司は「社殿に調和する素材、デザインでありがたい。駐車場で使わせていただく予定」と感謝。木下社長は「大勢の人の目に触れる立派な所に置いてもらえてうれしい。この商品を広めることで林業が活性化し、地方創生につながっていく」と話し、今後は和歌山城、玉津島神社にも寄贈する予定だという。