高台、内陸へ渋滞発生 津波警報発令時の和歌山市

津波警報時の交通渋滞と人流について説明する尾花市長
津波警報時の交通渋滞と人流について説明する尾花市長

7月30日朝にロシアのカムチャツカ半島沖で発生した大地震により和歌山県沿岸部にも津波警報が発令された際、和歌山市内で紀の川以北の高台や東の内陸部へと向かう交通渋滞が発生し、商業施設や学校などへの人の集中的な移動が見られたことが分かった。2日の定例記者会見で尾花正啓市長が明らかにした。

携帯電話各社の位置情報、県警や日本道路交通情報センターの道路情報などのデータを元に市が分析したところ、7月30日午前10時~午後1時10分に1時間以上の渋滞が発生したのは、紀の川大橋、北島橋、紀の国大橋を渡って北部の高台へと向かう南北の3路線やそこに交差する東西の路線の一部。紀の川以南では、宮街道など東西の幹線道路の一部で東方面への渋滞が起こっていた。

1週間前の同時刻と比較して多く人が集まった場所をみると、北部の高台に位置するイオンモール和歌山、列車の運転見合わせが発生したJR和歌山駅付近が最も多く、1000人以上。南海和歌山市駅や各地の大型商業施設でも500人以上となり、避難所となっている各地の学校や公共施設でも100人以上の集まりが確認された。

尾花市長は、南海トラフ地震のような日本近海の地震で避難の時間的余裕がない場合、交通渋滞の発生は多くの人命の危機につながると問題視。「避難は原則徒歩ということを、しっかり訴えていきたい」とし、自動車を使わなければ避難が困難な高齢者や要支援者については「ルール化を通じて限定的に車の利用を可能にすることを検討すべきではないか」と述べた。