陸上教室で深まる友情 仏選手団が児童と交流

東京で13日に開幕する世界陸上選手権に出場するフランス代表チームが10日、事前キャンプ地の和歌山を後にして東京へ出発した。出発前の9日には、和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で小学生を対象にした陸上教室を行った後、和歌山マリーナシティホテルで激励会に参加した。子どもたちとの交流と県民からの温かな励ましを受け、フランス代表チームは決戦の舞台に挑む。

陸上教室には和歌山市や海南市などから小学5、6年生約50人が参加した。フランス代表の選手やコーチが指導にあたり、世界トップレベルのアドバイスに、子どもたちは笑顔を見せながらも真剣に取り組んだ。
走り幅跳び、ハードル、棒高跳びの3グループに分かれて練習。走り幅跳びでは腕の振り方、ハードルでは跳躍のフォーム、棒高跳びでは補助を受けながらの挑戦などと、実践的な指導が続き、子どもたちは貴重な経験をした。
女子100メートルハードル代表のサシャ・アレッサンドリーニ選手は「子どもたちが新しい発見をしてくれてうれしかったし、私たち自身もいろいろと楽しむことができた。大会に向けていい時間になった」と笑顔で話していた。
和歌山陸上クラブの小河晴輝さん(12)は「すごくいい機会になった。体が大きく速かった。優しくて友情を感じた」と感激の様子。海南アスリートクラブの藤井実歩さん(11)は「腕の振りが速くて印象に残った。すごくフレンドリーで、ハイタッチしてもらえてうれしかった」と笑顔を見せた。
夜にはフランス代表チーム約85人を迎えた激励会が開かれた。宮﨑泉知事や県スポーツキャンプ実行委員会の木村恵委員長、和歌山陸上競技協会の市川貴英専務理事、協賛企業の代表らが出席し、フランス代表選手たちへエールを送った。
冒頭、「日本文化を楽しんでもらいたい」と紀北農芸高校和太鼓部が迫力ある演奏を披露し、選手たちはリズムに合わせて踊るなどし、会場は盛り上がった。
その後、宮﨑知事は「和歌山でのキャンプを経て、最高のコンディションで本番を迎え、力を存分に発揮することを願っている」などと激励の言葉を贈った。
フランス陸上競技連盟のパフォーマンスディレクターのロマン・バラスさんは「この合宿は単なるトレーニングを超え、人間の出会いであり、交流であり、友情を深める貴重な機会となった。私たちはかけがえのない思い出と、皆さまへの深い感謝を胸に、東京に向けて出発する」と語った。
世界陸上選手権は13~21日の日程で行われる。