ワイン樽で発酵、熟成 仏産しょうゆ日本で販売

ワイン樽で発酵、熟成させた2025版しょうゆ(湯浅醤油㈲提供)
ワイン樽で発酵、熟成させた2025版しょうゆ(湯浅醤油㈲提供)

和歌山県湯浅町湯浅の湯浅醤油㈲(新古敏朗代表取締役)はフランス、サンテミリオンのワイナリーと共同で醸造し、ワイン樽で発酵、熟成させた2種類のしょうゆの2025年版を完成させた。10月1日の「しょうゆの日」に日本で限定発売をした。

両社は2023年から、黒と白の2種類のしょうゆ「SHINKO NOIRE(濃口醤油)」と「SHINKO BLANCHE(白醤油)」を醸造し、製造販売を行っている。

黒しょうゆは、フランス産のオーガニック大豆と小麦、塩田で造られたイル・ド・レの塩をワイン樽に仕込み、12カ月間じっくりと熟成させた。透き通った黒色で甘みがあり、後味は軽やかな仕上がり。

白しょうゆは、小麦を多く使用しワイン用のステンレスタンクで丁寧に熟成。淡い色味で優しい口当たり、繊細な甘みと香ばしい香りが料理の味を引き立てる。どちらもフランス有機認証を取得している。

新古代表は2014年に、フランスボルドーで木樽に長期熟成させることで香りや味わいが増すワインの在り方から「同じ発酵食品であるしょうゆがフランスで造れるのでは」と、可能性を感じてしょうゆ造りを始め、23年に同ワイナリー、シャトー・クーテットのオーナー、アドリアン・ダヴィド・ボーリューさんが事業パートナーとなり、新たなスタートを切った。

フランスでのしょうゆ造りにおいては、ワイン造りの道具や技術を応用して取り組んだ。

初回の2024年版は、フランス国内でも評判が良く老舗百貨店でも販売。スープやサラダ、魚などの家庭料理に「ちょい足し」して使う人が増え、新古代表は「日本のように、しょうゆが当たり前にあり、日常的に使う食卓になればと思い造っていた。徐々に根付いてきてうれしい」と話す。

2025年版は、ボトルの形状やパッケージにもこだわった。木製ボックスに、瓶内の樹脂に注ぎ口があり、しょうゆを少しずつ出すことができる。

欧米からも好評で注文が殺到。当初、日本での発売は予定していなかったが、新古代表は暗いニュースが多い中、湯浅の老舗しょうゆ会社が世界で頑張っていることを知ってもらい、少しでも明るいニュースを届けられればと、日本でも発売することを決めた。

黒しょうゆは290本、白しょうゆは95本を予定している。どちらも200㍉㍑、1万2960円。購入は同社店舗やECサイトから。