初展示の抽象画や版画 生誕120年村井正誠展

100点を超える作品が並ぶ
100点を超える作品が並ぶ

和歌山ゆかりの画家・版画家の村井正誠(1905~99年)の展覧会「生誕120年村井正誠展―色のやどり・形のうぶすな―」が11月30日まで、和歌山市吹上の県立近代美術館で開かれている。

村井は岐阜県大垣市生まれ。幼い頃に和歌山に移り住み、小学校から中学校卒業まで新宮市で暮らした。豊かな自然と文化の中で絵を描き、画家を目指して東京の文化学院美術科へ。卒業後はフランスに渡り、制作を始めた。

絵を描くかたわら美術館や教会、遺跡などを巡り、人間の表現に触れ学びとることに努め、鮮やかな色彩とのびやかな生命感を秘めた形を獲得。その後、独自の絵画を追求し続け、生涯を通じて国境を超えあらゆる時代の人に通じる表現としての抽象絵画を求めた。

今展では村井の国内の代表作を集め、200号サイズまでの100点が並ぶ他、版画や資料などを展示している。

独学で追求した、風景画を抽象画に簡略化する過程が分かる初展示の作品もあり、色彩と造形の魅力に加え、その芸術を育んだ土壌の豊かさもうかがい知ることができる。

展覧会に先立ち、同美術館で9月26日に開会セレモニーが行われ、妻の村井伊津子さんや同館友の会会員ら40人が参加。伊津子さんは「作品として公にしていなかったものもあります。村井もこの美術館にいて喜んでいると思います」とあいさつした。

フロアレクチャー(学芸員による展示解説)は4日、11月2日、29日の午後2時から1階展示室である。

午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。休館は月曜(祝日の場合は開館し火曜が休館)。

観覧料は一般800円、大学生500円、高校生以下と65歳以上、障害者手帳を持つ人は無料。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。