情念描いた能「葵上」上演 和歌の浦万葉薪能

第26回「和歌の浦万葉薪能」が5日、和歌山市和歌浦南の健康館アリーナであり、来場した約450人が能や狂言の世界を楽しんだ。
NPO法人和歌の浦万葉薪能の会(髙木俊行代表理事)が主催。雨天を考慮し、当初予定していた片男波公園野外ステージから場所を変更して行われた。
観世流能「葵上(あおいのうえ)」は源氏物語を題材にした人気曲。光源氏からの愛を失い、葵上に対する嫉妬(しっと)から生き霊となった六条御息所(みやすどころ)の嘆きや悲しみ、心の葛藤が表現され、祈祷(きとう)によって成仏するまでを、片山九郎右衛門さんが演じた。
大蔵流狂言師の茂山千五郎さんらによる狂言「千鳥(ちどり)」では、主人からツケで酒を買ってくるよう命じられた太郎冠者と酒屋の楽しい駆け引きが、会場の笑いを誘った。
初めて能を見たという同市の会社員の女性(27)は「全く知識がなかったですが、事前の解説が分かりやすく楽しめました。能面での舞を近くで見られ、とても迫力がありました」と話していた。
観世流能楽師・小林慶三さん、橋本忠樹さん、金春流太鼓方・前川光範さん指導による能楽ワークショップ参加者の発表もあった。