深夜に駆ける白装束の男 大宮神社よみさし祭

深夜0時に神社を出発
深夜0時に神社を出発

深夜0時、白装束の男たちが暗闇のまちを走る――。和歌山県岩出市宮の大宮神社(三浦一起宮司)で3日、よみさし祭が行われ地元住民らでにぎわった。

同神社に古くから伝わる伝統的な祭りで、神社が所有した東と西の御旅所を領地検分していた名残として続く祭祀。

午後10時半に集まった氏子ら20人はみそぎをして身を清め、神事を執り行った後、深夜0時に神社を出発。「祓へ給え、清め給え」と唱えながら東西二手に分かれ、長さ約3㍍の御榊(みさき)を手に、約2㌔先の紀の川市下井阪と、約3㌔の岩出市吉田の御旅所を目指し走った。

真っ暗な道を駆け抜け約30分後、地域住民ら20人ほどに出迎えられ到着。みさきを御影石の台に立て、神事を執り行った後、住民らに榊の枝が配られた。その枝をもらうと東の枝は上半身、西のは下半身の病に効くという言い伝えがある。

「膝が悪いので痛みがなくなるよう榊をもらいに来た」という同市の女性(61)は榊を手ににっこり。

同市の女性(57)は「初めて来たけど厳かで神聖な空気に感動した」と話していた。

20年参加している鵜本美昭さん(57)は「感謝の気持ちを込めて毎年走っている。体力が続く限り参加したい」と汗をにじませた。

この日、昼間は秋祭りとして、宮司や子どもたちが岩出地区公民館から同神社までを練り歩く渡御があり、本殿で獅子舞、稚児舞が奉納された。