ドイツで究める剣の道 ステファンさん恩師訪ね来日

ステファンさん㊨と文一さん㊧が稽古。(奥左から)光汰さん、帆那さん、柑那さん
ステファンさん㊨と文一さん㊧が稽古。(奥左から)光汰さん、帆那さん、柑那さん

約20年前に和歌山市で剣道に出合って以来、母国に戻ってからも剣道を続けているドイツ人のブルーナ・ステファンさん(45)。「剣道はやればやるほど目標が高くなり、常に自分自身と切磋琢磨(せっさたくま)できる」と、今も家族と共に剣道で汗を流している。9月上旬に家族で来日。初めて剣道を体験した和歌山市の「中之島少年剣道クラブ」を訪れ、稽古に励んだ。

ステファンさんは2003年、オーストラリアの英語サマースクールで日本人の明子さん(41)と出会い、06年に結婚。それを機に来日した。剣道と出合ったのは同年、趣味のビリヤード仲間の上田真一郎さん(50)から剣道を勧められたのがきっかけだった。真一郎さんの父・文一さん(79)は同クラブの創設者で、ステファンさんは文一さんから贈られた竹刀や防具などを使って稽古をし、剣道の奥深さを知っていった。

12年まで日本で生活し、その後ドイツへ戻り、明子さん、長男の光汰さん(16)、長女の帆那さん(13)、次女の柑那さん(10)と暮らしている。

今も週に1、2回、ドイツにある道場に通い、家族で研さんを積んでいる。現在はステファンさんが四段、光汰さんが二段、帆那さんが初段、柑那さんが四級を取得している。

家族5人で中之島少年剣道クラブを訪問したステファンさんは、文一さんとも竹刀を交え「真心を持って受け入れてくれて、皆さんとても親切で楽しかった」と笑顔を見せた。

稽古後は子どもたちを含め、同クラブの道場生や保護者と記念撮影するなどして談笑。同クラブからブルーナ家にTシャツや手ぬぐいが贈られた。

文一さんは「日本の文化をドイツでも受け継いでくれているのがうれしい。剣道は礼に始まり礼に終わる。その精神が子どもたちにも身に付いていて良かった」と笑顔で話した。

ブルーナ家と中之島少年剣道クラブで記念撮影
ブルーナ家と中之島少年剣道クラブで記念撮影

中之島少年剣道クラブは道場生を募集中。活動は主に中之島小学校体育館で月曜と木曜の週2日、午後6時半~8時半に実施。現在は幼児から小中学生まで約30人が稽古に励んでいる。

石井美和子代表は「このクラブでは結果だけでなく、仲間を思いやる気持ちなど心の成長を大切にしている」と話し、入部を呼びかけている。見学や体験も可能。活動の詳細や問い合わせはインスタグラム(@nakanoshima.kendo)。