紀美野に博物館オープン 3D技術の生き物模型展示

生き物の剥製(はくせい)や骨格、化石などを紹介する和歌山県の紀美野神野市場にある博物館「レプリカをつくる博物館」(旧きみの自然体験館)が6日、文化庁の登録博物館に定められ、開館した。博物模型の製作を専門とするアンフィ合同会社(佐々木彰央CEO)が運営する。同社によると、県内の民間企業で初の登録博物館という。
同社は2018年に同所に設立。3D技術を活用してレプリカや自然史資料などを製作し、全国の博物館や大学機関での展示や講義で活用されている。これまでに和歌山城公園動物園のベニー園長の3Dスキャン、ワカヤマソウリュウの骨格復元模型などを手がけてきた。
CEOの佐々木さん(39)は東京都出身。長年、静岡県で両生類や哺乳類の調査員として活動し、同県の県立博物館の立ち上げにも関わった。
レプリカをつくる博物館では、ライオンやヘラジカ、各種ネズミ、モグラやトナカイなど、世界の生き物の剥製をはじめ、恐竜や動物の骨格模型、三葉虫の化石など、生き物の特色を生かして分かりやすく展示され近い距離で見学できる。
アフリカから来たライオンの剥製には触れることもでき、子どもだけでなく研究者や専門家からも関心が高く注目される。佐々木さんは「見る人もスタッフどちらもいいなと思える展示をしたい。みんなと一緒に作りながら成長する博物館になれば」と話している。
また、博物館周辺には、昆虫や両生類、鳥、花などが豊富に生息し実際に見ることができる。ビオトープもつくり、図書館の無い同町で学術的な施設として期待される。佐々木さんは「専門家がいることで生き物のことを知り、自然豊かとはどういうことか理解できる。住んでいるところがいかに素晴らしい場所なのか知ってほしい」と話している。
模型の色塗りやビオトープづくりなどの体験や公演会なども定期的に開催。展示内容も入れ替わり、多目的ホールはセルフのカフェスペースとして自由に利用できる。
入館料は無料。運営は同社で模型を購入した人によって支えられるという。午前10時から午後4時まで。月曜休館。
25、26日の両日午前10時から午後4時には、動物の標本展示や飼育員の話が聞けるイベント「きみのいきものフォーラム」を同博物館で開く。
動物園をテーマに、25日は動物園で見られる動物の標本の展示。26日は静岡市立日本平動物園の飼育員が、動物園での仕事や動物のことなどを話す。午前11時~レッサーパンダの話、午後1時半~はゾウの話が聞ける。問い合わせは紀美野町自然環境ネットワークにメール(kimino.nature.network@gmail.com)で。