手話ダンス全国大会で2位 紀の川市のルリアン


岸本市長と共に結果を喜ぶルリアンのメンバー
岸本市長と共に結果を喜ぶルリアンのメンバー

一人ひとりが輝ける場所をつくりたい――。障害の有無にかかわらず7歳から30歳のメンバー12人が共にステージに立つ、和歌山県紀の川市の手話ダンスチーム「LeLien(ルリアン)」。9月21日に兵庫県で開かれた「第3回全国手話ダンス甲子園」の決勝大会で、全国の強豪とパフォーマンスを競い、準優勝に輝いた。代表の田尻純菜さん(30)は「これで終わることなく優勝を目指す」と意気込んでいる。

手話にダンスの動きや振り付けを取り入れたパフォーマンスを競う同大会はNPO法人「日本パラファンク協会」と福崎町がアートを通じた共生のまちづくりを目指し、2023年から開催。今回は全国から約50チームが参加し、決勝大会には8地区の予選を勝ち上がった23チームが出場した。

審査はダンスパフォーマンスや芸術性だけでなく、チームメンバーの多様性などが採点基準として設けられている。

「LeLien(ルリアン)」代表の田尻さんは、1歳下の妹が生まれつき耳が聞こえないため、幼い頃から手話で会話をしている。小学2年生からダンスを始め、今もショーや大会で活躍。数年前に手話ダンスと出合い「音楽と手話が合わさると、こんなにも豊かな表現ができるのか」と感動し、弟の長坂聖春さん(26)とダンスを考え、SNSに動画をアップ。イベントで披露するなど、その魅力を伝えてきた。

同チームは、田尻さんと長坂さんきょうだいが、手話ダンス甲子園の出場を目指し、昨年結成。同市内のダンス教室や仲間に声をかけメンバーを集めた。昨年は約5カ月の特訓をし、決勝大会まで進んだが、賞は取れなかった。

田尻さんは「悔しかったけど、まだまだ伸びしろはある」と再挑戦を決め、新たにメンバーを募集。ろう者、発達障害、親子、姉妹などさまざまな12人で新チームを結成。和歌山の魅力を伝えようと、白浜のアドベンチャーワールドのテーマソングでテーマパークの世界観をつくり上げ、観客を魅了した。

粉河高校2年生の河内香利奈さん(17)は「結果が発表された時、ものすごくうれしかった。でも、2位のままじゃ終われない。来年は絶対に1位になる」と力を込める。

紀美野町の会社員で聴覚障害がある石井忠大さん(24)は、「音楽が聞こえないので動きを合わせるのが難しいけど、目で合図を出してもらい、繰り返し練習することで踊れるようになった。みんなで一体となって踊れることが楽しい」と笑顔。田尻さんは「私たちのパフォーマンスで、一人でも多くの人に勇気と希望を届けたい」と話す。

メンバーは紀の川市役所に岸本健市長を訪ね、準優勝を報告。岸本市長は「ダンスをしながら手話も覚えられるのはすごくいい。次は優勝目指して頑張ってほしい」と激励した。