無事に生まれてね 玉川漁協がアマゴ発眼卵放流

メーカーからの参加者は家族で発眼卵を放流した
メーカーからの参加者は家族で発眼卵を放流した

和歌山県の橋本市、九度山町を流れる丹生川(玉川峡)を管轄とする玉川漁協(福岡満組合長)はこのほど、アマゴの発眼卵2万粒を放流した。5年前から漁協の役員だけで放流していたが、今回は釣り具メーカー、釣り人、行政関係者らも参加し、渓流魚を増やす試みを体験することで、保全活動への理解を深めた。

参加者約30人は3カ所に分散し、虫かごに300㌘ほどの卵を入れて流れの速い川底に沈めた。日光が直接当たらないように籠の上に石を敷き詰め、「無事にふ化しますように」と願いを込めた。

漁協によると、釣りの対象となる15㌢ほどに育つには約2年かかる。発眼卵は、卵の中の魚がある程度育って外から目が見えて動いている状態のもの。魚を直接放つ稚魚放流、親魚(しんぎょ)放流より発眼卵を放流する方が生き延びる確率が高いという。

福岡組合長は「組合員や釣り人の減少で漁協の運営は厳しくなっているが、こうした活動を知って体験してもらうことで未来につなげていきたい」と期待を込めた。

放流後、意見交換会が開かれ、参加者からは「これからは釣り人やメーカーが漁協を支えていかないと、釣り場がどんどんなくなってしまう」などの意見が聞かれた。