生かして守る第一歩 ブドウハゼ原木から実を採集

丁寧に頭上の実を収穫
丁寧に頭上の実を収穫

2020年に和歌山県天然記念物に再指定された紀美野町のブドウハゼの原木から、登録後初となる実の採集が22日に行われた。原木を後世に残すための管理の一環で、同町町づくり推進協議会が申請を提出し実施。ブドウハゼ産業の復活を目指す有志グループ志賀野さみどり会メンバーや、地域の新たな特産品を開発し地域活性化に取り組む、同町のりら創造芸術高校の課外活動「りらファクトリー」の生徒らが収穫した。

ブドウハゼは通常のハゼと比べて大きく、果実から採れる木蝋(もくろう)は、和ろうそくや口紅などの化粧品の原料となり、昭和初期ごろ同町には30万本以上が栽培され、産業となっていた。

原木は枯死したとされていたが、2017年に同校生徒が発見し、再指定された。

天然記念物であっても手入れをしないと枯れてしまうという懸念から、日当たりを良くしようと、ことし3月、雑木に囲まれていた原木の東側の木々を剪定(せんてい)し、このほど実も採集することになった。

メンバーらは、崖から伸びる高さ9㍍ほどの原木に実った房を、3㍍ほどに伸ばした高枝切りばさみを使い丁寧に採集。ブドウハゼの産業化を目指すKAYABOSIの代表、鞍雄介さんは収穫した実を見て「通常より1・5倍ほど大きい。昔の人がこの大きさを見たら喜んだだろうな」と笑顔。「全国的に見ても和歌山のブドウハゼは高品質。残すためには生かして守っていかないといけない。その一歩を踏み出せたのでは」と話した。

採集した約1㌔の実は、種植えや苗木作り、和ろうそく作りのワークショップなどに活用するという。

収穫した実を手に持つ、りら高生
収穫した実を手に持つ、りら高生