子育てカフェもものわ 代表の信愛短大・中嶋さん

子どもに笑顔で声をかける中嶋さん
子どもに笑顔で声をかける中嶋さん

先月、和歌山市のみその商店街で開かれた「みそのマルシェ」。さまざまなブースが出店するイベント内で「子育てカフェ もものわ」を中心となって企画したのは、和歌山信愛短期大学1年の中嶋桃花さん(23)。保育士の経験を生かし、家庭や子どもたちに寄り添い、食事を楽しめる場所をつくりたいと活動。「気軽に足を運び、ほっとできる時間を過ごしてもらいたい」と話している。

同短大の保育科を卒業後、市内の幼稚園で3年間、保育士として働いた。

保育の現場で感じたのは、家族の転勤などに伴い、県内に引っ越してきた子育て世代も多く、身近に頼れる人がいないこと。家事や育児を頑張り過ぎる母親がたくさんいた。

また、偏食の子どもたちと接する中で、声のかけ方を少し工夫するだけで克服できる場合もあり、「食のアドバイザーとして寄り添えれば」との思いを抱くようになったという。

昨年12月、同短大が26年4月入学生以降は学生募集を停止することを知り、「今しかない」と入学を決意。現在は食物栄養コースで学んでいる。

子ども食堂とは異なり、少人数で、ゆったり過ごせる場所をつくりたいとカフェを計画。代表を務める「もものわ」には、自身の名前と大好きな和歌山の「わ」、輪のように温かい場をつくりたいとの願いを込めた。

9月に同所で初めて子育てカフェを開き、併せて子育て世代からの悩み相談にも応じた。

2回目の開催となったこの日は、若い世代で地域を盛り上げたいと、近大付属和歌山中学校の生徒たちに声をかけ、信愛短大、もものわ、同中学校のコラボ企画として実施。短大の学生ら十数人が参加した。

中学校の生徒たちは子どもたちを対象に針や糸なしで作れるモルドールのワークショップを開き、にぎわった。

カフェのメニューは学生たちが考案し、県産食材を多く使ったホウレンソウ入りのカレーを格安で提供。アレルギーにも配慮し、サツマイモのパイやミカンゼリーなどのデザートも用意した。

保育科の学生たちが子どもたちの面倒を見ている間に、来店した夫婦らが食事を楽しんだ。また、学生たちはさり気なく母親らに話しかけ、子育ての悩みなどにも耳を傾けていた。

3歳と、10カ月の双子と一緒に家族5人で訪れた同市の女性(34)は「面倒を見てもらえ、その間に私たちもゆっくり食事ができるので助かります」とにっこり。2歳の長男と訪れた同市の女性(35)は「バランスの取れたメニュー。うちの子は偏食で普段カレーは口にしないのに、同じ年代の子がいて、周りの雰囲気もあってか、きょうは食べてくれました」と話した。

今後も定期的にカフェを開き、高齢者を招いての伝承遊び教室など、多世代が交流できるような場も提供したいと考えている。

「将来は子育てカフェを経営したい。卒業と同時にカフェを開くことが夢ですね。今は資金をためるために頑張ります」と中嶋さん。まぶしいほどの笑顔が輝く。