安全運転と移動を考える 高齢者対象の講習会

電動カーを体験する参加者
電動カーを体験する参加者

高齢者にできる限り安全に車の運転を続けてもらい、併せて免許返納のタイミングや地域のデマンド型交通利用について考えてもらおうと、和歌山県紀の川市貴志川町長山の西貴志コミュニティセンターで、地域の高齢者を対象にした講習会が開かれた。貴志川生涯学習センターが、貴志川地区公民館講座として開催。県作業療法士会、県理学療法士協会から講師を迎え、今も車の運転を継続している25人の高齢者(平均年齢75歳)が参加した。

「安全運転延伸」と「運転終活」を組み合わせて行う全4回の講座で、この日が最終回。これまでに脳と体の体操を取り入れながら、参加者は免許返納に関する講話を聞き、車に代わる移動手段などにも理解を深めてきた。

同市では、公共施設、病院やスーパーなどの各施設を巡回するコミュニティーバスの他、路線バスとタクシーの要素を併せ持った予約制のデマンド乗合交通が運行。来年1月からはエリアも拡大される。

最終となったこの日は、県が定める「ノーマイカーデー」で、参加者は公共交通や徒歩、自転車などで会場に集合。体力や認知能力を測定した他、和歌山ダイハツ販売㈱の協力で、運転シミュレーターを体験。小型モビリティやシニアカーなどに試乗し、操作方法や乗り心地を確認した。

県作業療法士会の理事、鍵野将平さんは「『安全運転の延伸』と『運転終活』は対立するものでなく、元気なうちから考えておくことが、長く安全に運転できることにつながる」と紹介。自身の身体能力の変化に早めに気付くことが重要だとし「地域には、車の運転以外にも、デマンド交通やタクシーなどの選択肢がある。きょうをスタートに、安心・安全な運転について考えてもらえれば」と呼びかけた。

ドライバー歴53年で、最近新車を購入したという女性(75)は「普段の運転を見直す良い機会になった。少し不安があるものの、買い物などで車が無いと不便。あと10年は乗りたいので、自分の体力を見極めながら安全な運転を心がけたい」と話していた。

貴志川生涯学習センター公民館主事の野口八江さんは「皆さん積極的に意見を出し合い、免許返納後の生活など、同じように抱える心配事をみんなで考え、共有できた。講座自体がコミュニティーの一つになったように思います。今後も継続してこのような機会をつくっていきたい」と話していた。