岸野選手が凱旋報告 デフリンピック柔道銅

昨年11月に東京で開催された聴覚障害者の国際総合スポーツ大会「東京2025デフリンピック」の柔道女子52㌔級で銅メダルを獲得した和歌山県紀の川市の岸野文音(あやね)選手(23)=紀陽ビジネスサービス㈱=が13日、地元で凱旋報告を行った。市役所では岸本健市長を訪問し、「本当にうれしい。大きな自信につながった」と喜びを話した。
生まれつきの難聴と軽度の知的障害がある岸野選手は、小学2年生で柔道を始めた。きっかけは、近所に泥棒が入り、大好きな母と家族を守りたいと思ったこと。同市の打田柔道スポーツ少年団に通って練習し、高校からは由良町の障害者柔道道場「光真(こうしん)道場」に所属。デフリンピックに向けては、和歌山市や京都府内の道場にも通い、厳しい稽古を重ねてきた。
日本代表に選ばれた時にも紀の川市役所を訪問し、「みんなに勇気を与えるために頑張ります」と力強く宣言。デフリンピックでは準決勝で韓国の選手に敗れたものの、3位決定戦でアイルランドの選手に勝利。得意の背負い投げを武器に果敢な攻めを見せ、メダルを手にした。
この日は、市役所の入り口で50人以上の職員が拍手で岸野選手を出迎えた。岸本市長は「自分のことのように本当にうれしい」と、笑顔で岸野選手に花束を手渡した。

岸本市長から「緊張した?」と聞かれた岸野選手は、「大会の前の日まではしていたけど、当日は周りから『テンション高いね』と言われるほど気分が高揚していた」と笑顔。3位決定戦については、「これまでは一度負けると立ち直るのにすごく時間がかかっていたけど、あの時はまだ試合ができるといううれしさがあった。今までになかったことで、新しい自分に出会えた大会だった」と振り返った。
「メダルを獲得した日はちょうど父の誕生日で、『おめでとう』と一番に首にメダルをかけてあげた」と明かした。
今後の目標は、29年にギリシャのアテネで開催予定のデフリンピック出場と、「ID(知的障害者)柔道」の世界大会出場を目指すという岸野選手。「飽き性の私が唯一15年も続けられたのが柔道だった。楽しい、やりたいと思ったことは手放さず大事にしていると、後に芽が出て花が咲くんじゃないかな」と話し、これからも日々鍛錬していくと意気込んでいる。
岸野選手は13日、県庁も訪れ、宮﨑泉知事らにも銅メダル獲得を報告した。

