最後の17人が学びを胸に 貴志川高人間科学科に幕

和歌山県紀の川市貴志川町の県立貴志川高校(野川景子校長)で2日、卒業式と人間科学科の閉科式が行われた。1999年の開設以来、ふるさと学習や社会貢献を特徴とする専門教育を担ってきた同科は、最後の卒業生17人の旅立ちとともに、27年の歴史に幕を下ろした。
人間科学科は「ふるさと和歌山を理解し、地域社会の発展に寄与する人材育成」を掲げて設置された。最大の特徴は、独自科目「ヒューマンライフ」。大学との連携授業や世界遺産での研修など、教室の枠を超えた多彩な校外活動を展開。中でも、同市鞆渕での間伐体験や、そこで切り出した木材を使ってベンチを作り、地域の福祉施設へ寄贈する活動は、同科を象徴する地域貢献の歩みとなった。
卒業式後に行われた閉科式で、野川校長は「皆さんは人間科学科の27年をつなぐ最後の走者、アンカーです」と呼びかけ、「間伐体験や、心を込めて作り上げたベンチを地域に送り届けた際、頂いた温かい『ありがとう』の言葉。こうした経験の一つひとつが、皆さんを人間として力強く育ててくれた」と、生徒たちの成長を喜んだ。
卒業生を代表し、答辞を述べたのは根耒輝咲(ねごろ・きさき)さん。募集停止が決まっていることを知らずに入学した当時を振り返り、「自分たちが最後の代だと知り、戸惑いや不安を感じたこともあった。けれど、終わりを意識したからこそ、仲間と過ごす当たり前だと思っていた時間が、何より大切でかけがえのないものだと気づけた」とし「ここで学んだ人を思う心や社会と向き合う姿勢は、これからの人生で生き続けていく」と、力強く締めくくった。
学校生活で特に印象に残っているのは「紀の川市少年少女発明クラブでのボランティア活動」という根耒さん。市内の小学生に科学の楽しさを伝える活動で、実験内容を一から考え何度も練習を重ねたことを振り返り「子どもたちが喜んでくれたのが何よりもうれしかった。活動を通じて培った相手の立場に立って考える力は、私の大きな財産。将来進む看護の道でも生かしたい」と、アンカーとしての誇りをにじませた。
同科は少子化の影響により、2024年度から募集を停止。1999年度の開科から27年間で、累計卒業生数は964人に上る。今後は人間科学科で培われた地域連携や体験学習のノウハウを、普通科の教育課程の中で継承し、さらなる充実を図っていく方針だという。


