アバローム紀の国が閉館へ コロナ禍以降赤字続く

来年3月での閉館が決まったホテルアバローム紀の国
来年3月での閉館が決まったホテルアバローム紀の国

公立学校共済組合和歌山支部は25日、和歌山市湊通丁北の「ホテルアバローム紀の国」を2027年3月末で閉館すると発表した。新型コロナウイルス禍以降、宴会などの利用の落ち込みで赤字が続き、設備更新などの費用確保が困難と判断した。皇族が宿泊したこともあり、地域を代表する宿泊や宴会、結婚式の拠点として親しまれてきたが、前身を含め70年以上の歴史に幕を下ろす。

同支部によると、同ホテルは1955年11月に営業を開始した「紀の国荘」、70年5月開業の「紀の国会館」を前身とし、99年9月14日に現在の施設に建て替えて開業。建物は鉄筋11階建て、敷地面積7010平方㍍、延べ床面積1万1424平方㍍。客室65室の他、大規模な宴会場、チャペル、会議室などを備え、自治体や民間団体の会議、結婚式などに幅広く利用されてきた。

2015年10月には、全国障害者スポーツ大会のために来県された天皇陛下(当時は皇太子)が宿泊され、05年5月には、将棋の第63期名人戦第3局が行われ、森内俊之名人と羽生善治四冠(いずれも当時)が対戦するなど、県内の大きなニュースの舞台ともなってきた。

コロナ禍により宴会や結婚式、会議などの利用が減少し、収束後もオンライン会議の普及や披露宴の規模縮小など社会情勢の変化を受けて厳しい利用状況が続き、結婚式は件数で最盛期の半分以下、売上ベースではさらに落ち込んだ。

客室の稼働率は好調で、25年度中も8割前後で推移しているが、全体の収益減をカバーするには至らず、2020~24年度は23年度を除いて赤字となり、25年度も赤字を見込んでいる。

現施設は開業から26年が経過し、エレベーターや空調、配管などの大規模更新の時期を迎えているが、必要な資金の目途が立たず、営業継続を断念した。

閉館に先立ち、今月末には日本料理店「六つ葵」が営業を終了し、レストラン「リーフ」は4月から営業時間を現在の午後5時までから2時半までに短縮。ブライダル予約は原則受け付けを停止し、宴会は毎週月曜を原則予約不可とする。宿泊や会議室の利用は継続する。

閉館後の施設の活用は今後、同組合本部で検討する。同支部担当者は「閉館をお伝えするのは本当に苦しい。支部としては、事業譲渡など現在の機能を極力残した活用を願っている」と話した。