和歌山電鐵開業20周年 新構想で沿線の魅力発信

記念のくす玉を割り、拍手に包まれる小嶋社長(中央)と出席者ら
記念のくす玉を割り、拍手に包まれる小嶋社長(中央)と出席者ら

和歌山電鐵(和歌山市伊太祈曽)は4日、開業20周年を迎えたことを記念し、同市の伊太祈曽駅構内の車庫で記念式典を挙行。鉄道と地域が一体となったアミューズメントパーク化を目指す新構想「にゃんダーランドin和歌山」を発表した。

新構想「にゃんダーランド」を発表する小嶋社長㊧と水戸岡さん
新構想「にゃんダーランド」を発表する小嶋社長㊧と水戸岡さん

同社は2006年4月1日、廃線の危機にあった貴志川線を、南海電鉄から継承した。地方鉄道の救世主となった猫の「たま」を駅長に抜擢した他、デザイナーの水戸岡鋭治さんが手がける「いちご電車」や「たま電車」などユニークな車両を次々と導入。国内外から多くの観光客を呼び込んできたものの、コロナ禍や物価高騰による経費上昇などで赤字が続いた。昨年11月には県と和歌山市、紀の川市、同社が28年4月を目標に、自治体が鉄道設備を保有し、同社が運営する公設民営の「上下分離方式」へ移行することで合意した。

式典で、小嶋光信社長は「第一ステップは鉄道を守ることだった」と20年を振り返った。

存続運動の先頭に立ってきた住民団体「貴志川線の未来をつくる会」の木村幹生会長は、あいさつで「鉄道は水や空気のようにあって当たり前のものだった。なくなると聞いた時は驚き、7人の有志で活動を始めた」と当時を回想。補助金に頼らない手弁当の活動が、6400人の会員を擁する全国的な支援へつながった歴史を語り、「毎日、利用者のために走ってくれて本当にうれしい」と感謝を伝えた。

会場には「よんたま」「ごたま」に加え、次代を担う駅長候補生の「ろくたま」も参加。くす玉を割り、新たな歴史の始まりを笑顔で祝った。

20年の節目を祝うごたま
20年の節目を祝うごたま

次なるステージとして発表された新構想は、貴志駅をメインステーションとし、駅やホームにミニホテルやレストランなどを設置する「レールイン」プロジェクトを柱とする。水戸岡さんは「みんなの思いを見える化したい」とし、子どもたちが遊べる「キッズパークたま」の設置など、公共交通を軸にしたまちづくりを提案した。

小嶋社長は「これからは公共交通を使って地域がいかに盛り上がるかの実験だ」と話し、住民と共に構想を具体化させていく方針を示した。1年以内には拠点となるカフェの設置や、独自の「パスポート」や「ビザ」を発行するなどのソフト面から着手する予定だという。