規格外果実に新たな価値を 八旗農園が新工場を稼働

和歌山県紀の川市桃山町の自社工場で、桃をはじめ同市で収穫されたフルーツのピューレなどを製造販売する㈱八旗(はっき)農園は、敷地内に新加工場を建設し、4月に本格稼働を開始した。最新設備の導入により、従来のピューレに加え、より汎用性の高い「濃縮果汁」の生産を増強。出荷できない規格外品の有効活用を通じて地域の農家を支え、フルーツ王国紀の川市の発展を後押しする。

同農園は、過熟や形の不ぞろいなどで出荷できない規格外の果実を地元の農家から購入し、加工品として再生させている。2009年に東京から移住した高平昌英社長らが新規就農者3人で直売所を設立したのが始まり。当時は桃の規格外品の価値が低く農家所得として程遠い状況だったという。
農家が大切に育てた果実を無駄にしないため、14年の法人化を機にピューレ加工に着手した。現在、同園は市内の100以上の農家と取引があり、加工した商品は全国の約400社へと届けられている。
新工場は国と市の補助を受け、84坪2階建てで建設。気圧を下げて低温で加熱・撹拌(かくはん)しながら脱水ができる「真空ニーダー鍋」を導入した。今回の増設は「水分が少ない濃縮果汁を作ってほしい」という多くの要望に応えたもの。水分を飛ばしてすっきりとした質感に仕上げる濃縮果汁は、水分が仕上がりを左右するクッキーやマカロンなどの焼き菓子、パンのクリーム、日本酒と合わせたリキュールなど、従来のピューレでは活用が難しかった分野への利用が可能になる。
中浴泉専務(67)は「水分を飛ばすことで糖度が上がり、味も濃厚になる。繊維のないさらっとした質感で、お菓子やパン作りに使い勝手の良いものを提供できるようになった」と話す。
今後は、県や紀の川市と共同で、独自の乳酸菌を活用した健康志向のピューレの研究開発も進め、旬のフルーツをより長く楽しめるよう、保存技術についても学びを深めていき、同市の農家のニーズに応える地域の加工場としての一面も担っていきたいという。

