特徴的な漁港の風景「雑賀崎」

前号では、加太で1000年以上の歴史を持つ、鯛の「一本釣り」の歴史と今を取り上げた。和歌山市には加太以外にも漁業が盛んな地域がある。今週は雑賀崎漁港の特徴と魅力を紹介したい。
雑賀崎漁港は市の南西部に位置する。かつては加太漁港のように一本釣りが盛んに行われていたというが、現在は底引き網漁が主。底引き網漁とは、海底に袋状の網を沈め、船で引きずり魚介類を取るという漁法。
大きな特徴は取れた魚を漁師の船から対面で直接購入できること。秋冬と春夏の期間で漁と対面販売の時間が異なることも特徴の一つ。おおむね、10月のスポーツの日から5月中旬までは、13時頃から魚が並び始め、欲しい魚があれば予約札をもらい15時から購入できる。一方、5月中旬からスポーツの日までは17時頃から魚が並び始め、予約札不要で購入できる。漁師の帰港時間はさまざまで20時頃から販売が始まることも。
秋冬は主に足赤エビ、鯛、赤舌ヒラメ、コウイカ、太刀魚、カマスなど。春夏は、ハモ、ジャコエビ、ヒイカなどが揚がる。漁業環境を保護する資源管理の観点から、火曜日と土曜日、祝日の前日は休漁となる。
帰港時間が近づくと近隣のみならず県外からも新鮮な魚を求める客でにぎわう。飲食店の板前が自ら出向き、目利きをしながら買い付けることも。なかには対面販売に限らず、全国に新鮮な魚を届けたいと通販サイトでその日に取れた魚を販売する漁師も。
近年は市場価値が高い足赤エビとハモを漁業で集荷し、卸売市場へ出荷する取り組みが進められ、活魚の魅力を広めると同時に漁師の所得向上が図られている。
その日に取れた新鮮な魚をその場で買える、特徴的な漁港の風景がここにある。(次田尚弘/和歌山市)


