お菓子で人を幸せに 福祉事業所代表の大瀬ゆゆさん

障害福祉とスイーツを掛け合わせた事業を展開する、㈱ゆゆ(兵庫県尼崎市)の代表で、和歌山市出身の大瀬ゆゆさん(24)が、著書『23歳の私が「福祉×スイーツ」で1億円企業をつくるまで』を昨年10月に白夜書房から出版した。22歳で赤字続きだった事業を引き継ぎ、わずか2年で年商1億円規模へ成長させた歩みを一冊の本にまとめた。
働く楽しさや課題解決について、その時感じていたこと、1億円企業に成長させたノウハウなどを紹介。大瀬さんは「一生懸命やれば形になる。一人でも多くの人に事業を知ってもらいたい」と話している。
大瀬さんは和歌山県内の高校を卒業後、看護の道を志したが自身を見つめ直し中退。その後、縁があり、2022年に尼崎市の就労支援施設で働き始め、利用者の菓子製造の補助や菓子作りを学ぶため、パティシエの修行などに取り組んだ。
転機は24年に訪れた。前代表が体調不良により経営危機に。混乱しスタッフや利用者が不安に包まれる中、「利用者さんの居場所を失いたくない」と大瀬さんは、経営経験ゼロながら「私がやります」と代表に名乗りを上げた。
債務も抱え、主要な取引先も失う極めて厳しい状況からのスタート。大瀬さんは一軒ずつ飲食店や企業へ飛び込み営業を繰り返し、積極的にイベントにも参加した。「キラキラしたイメージは全くなく、泥臭いことの連続でした」と振り返る。努力が実り、現在は大手企業の手土産に採用されるなど販路を大幅に拡大させている。
主力商品は、本場フランスのパティシエのお墨付きという大粒のカヌレ「ラム酒香るバニラのカヌレ」、「キルシュ香るショコラのカヌレ」など。現在、約30人の障害のある利用者が、生地の熟成から焼き上げまで工程を分担して作っている。
他にも、フィナンシェやスノーボールなど、さまざまな菓子を製造。大瀬さんは事業所を、一般就労を目指すための「社会の予備校」と位置付け、昨年は5人が一般企業への就職を果たした。「お客さまはおいしいお菓子で喜び、利用者さんは作ることで自信につながる。その一口が誰かの力になる。お菓子に関わった全ての人が幸せになれるよう取り組みたい」と話す。
今後は新商品の開発や関西圏での店舗展開も視野に入れている。書籍は1650円。アマゾンなどで販売中。焼き菓子は店舗やオンラインショップで購入可能。店舗「ゆゆ」の営業時間は午前11時~午後5時半(日曜・祝日休み)。


