地域で様々な呼び名「足赤エビ」

前号では、船上からの対面販売という特徴的な漁港の風景が息づく雑賀崎漁港を取り上げた。盛んに水揚げされる「足赤エビ」や「ハモ」は市場価値が高く、この地域ならではの魅力的な資源。今週は足赤エビを紹介したい。
足赤エビの正式名称は「クマエビ」。十脚目(エビ目)のクルマエビ科に属するエビ。主に千葉県以西の太平洋、富山県以西の日本海、朝鮮半島南部、台湾、オーストラリアなど、インド太平洋沿岸の広範囲に生息する。ふ化して間もない時期は水深10㍍以浅の沿岸域を漂い、やがて稚エビになると水深20㍍以浅の泥底を好むことから、底引き網漁や差し網漁で取られる。
クルマエビと同様に夜行性で昼間は泥の中に潜っていることから、漁はまだ暗い早朝に行われる。雑賀崎で午前4時ごろから出漁する船が多い理由の一つである。
足赤エビの名で呼ばれるのは、雑賀崎に加え、漁場が近い兵庫県、徳島県、大阪府など。地域によって呼び名はさまざまで、愛知県では「カラス」、大分県では「キジエビ」、岡山県では「ハカマエビ」など。
クマエビの名前の由来は、熊のようにどう猛な性質にあるとか。雑食で海底の有機物などを食べるが、弱った仲間を襲い共食いするという。成長すると、雌ではおよそ25㌢近くにまで大きくなる。
市場価格は100㌘あたり1000円程度。1匹あたりおよそ500円の換算になる。以前、本コーナーで取り上げた2013年では、およそ1匹あたり200円程度と記載したが、昨今の物価高に加え、ブランドとしての価値の高まりも相まって、十数年で倍ほどに。身近な足赤エビの市場への浸透がうかがえる。
ことしのシーズンはまもなく終わる。新鮮でおいしい足赤エビをぜひ。(次田尚弘/和歌山市)

