平和願う多宝塔の経石 和歌山市立博物館で展示

和歌山市湊本町の市立博物館で、妹背山の海禅院多宝塔に埋納されていた「経石」を紹介する展示が開かれている。6月10日まで。
経石は法華経の題目「南無妙法蓮華経」が墨書された石で、和歌浦中の妹背山にある海禅院多宝塔の石室に約15万個が納められていた。
江戸時代初期、初代紀州藩主・徳川頼宣の生母である養珠院(お万の方)が、徳川家康の三十三回忌を機に、追善と世の中の平安を祈って発願した。多宝塔は市指定文化財で、和歌の浦を代表する歴史遺産の一つとなっている。
2004年に市民団体「妹背山護持顕彰」による調査で石室内から経石が確認され、その後は妹背山の倉庫で保管されてきた。しかし、保管場所の撤去が決まったことから、21年に「経石を多宝塔に戻す会」が発足。毎月第2日曜日の晴れた日に、経石を再び石室へ戻す作業が続けられてきた。
同館では経石が25個展示され、その由来や発見の経緯、作業風景の写真などをパネルで紹介。多宝塔や石室の概要の説明書きもある。14日が経石を戻す作業の最終日で、今回の展示は作業完了前に実物を間近で見られる貴重な機会となる。
学芸員の山下奈津子さんは「経石の一つひとつから当時の人が何を願って墨書したのか、その思いの強さを感じます。歴史的にも珍しいので多くの人に見ていただければうれしいです」と話している。


