県立3高が拠点校に ネクストハイスクール構想

和歌山県教育委員会は6月30日、文部科学省が進める「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」の改革先導拠点に、県が申請した和歌山工業、新宮、貴志川の県立3高校全てが採択されたと発表した。2026~28年度の3年間にわたり、総額約62億円を上限とする全額国庫負担事業として、高度技能者の育成や多様な学びの機会の保障など独自の教育改革を進め、県内への波及、展開を図る。

同構想は、2040年に向けて、労働市場や地方経済において「イノベーションを興す力を底上げする起点」として高校を位置づける教育改革の取り組み。
採択された県立3高校は、それぞれ国が示した3類型に対応した取り組みを行う。和歌山工業は類型1の「アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援」に選ばれ、採択額は約39億円。主な取り組みでは、県内初となる専攻科「デジタル生産システム専攻(仮称)」を28年度に新設する予定である他、企業や小中学生、他高校と協働できる「共創・ものづくりセンター(仮称)」を校内に新築し、28年度にオープンを目指す。
さらに、県内企業などの技術者から生徒が直接指導を受けることで実習の高度化を図り、データサイエンスを取り入れた科目の充実をはじめ、時代の開発技術者を育成する教育課程の編成を大学と連携して進める。
新宮は類型2「理数系人材育成支援」の拠点となり、約16億円が充てられる。地理的に大学や研究機関が遠い制約を克服するため、双方向オンライン技術を導入し、大学教員や理系大学生との交流を促進する。また、通常の高校にはない高度な理科実験や分析の設備を整備し、地域の中学校や他校の生徒にも開放するシェアリングネットワークを構築することにより、理数系人材を育成する。
貴志川は類型3の「多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保」の拠点となり、約7億円が配分される。同校はこれまでも地域連携に力を入れており、29年度には県内初となる高等支援学校の併設を予定している。小規模校の限界を取り払うため、他校との間で遠隔授業ネットワークを構築し、保育や福祉など県内でニーズの高い専門科目をはじめ多様な学習をオンラインでできる環境整備を進める。さらに、メタバース空間でアバターを活用して教員と対話するなどの方法で段階的な登校を目指す不登校支援など、個々の生徒の状況に応じたインクルーシブな教育環境の構築を目指す。
今回の改革先導拠点の採択では、先行して採択されていた富山、静岡両県を除く45都道府県の171校から申請を受け付け、約4割の69校が採択された。
今西宏行県教育長は記者会見で「他県がこれほど厳しい採択状況だったとは驚いた」と述べ、県から申請した3校全てが満額予算での採択となったことについては、県が以前から進めてきた高校教育改革をベースとした申請計画が評価されたことなどを背景として挙げた。
今西教育長は「先導拠点での取り組みを3年間でしっかり成果につなげ、県内の他校にも普及させたい」と述べた。


