持続可能な「しらす」の漁獲

前号では、現代の和歌山のミカン栽培でも使われる有機肥料である「魚粕(ぎょかす)」の効果と特徴を取り上げた。日本の農業の発展を支えたカタクチイワシであるが、かつては乱獲により個体数が大きく減る時期も。今も地域によっては禁漁期間を設けるなど、海洋資源を守るところも。今週は持続可能な漁業を目指す、各地の取り組みを紹介したい。
筆者が静岡県や神奈川県に居住している時、よく耳にした「禁漁期間」。静岡県では、1月15日~3月20日の間を県独自の漁業調整規則に基づき、しらす漁を禁止。限りある水産資源を守るためとしている。この期間は冷凍されたしらすが店頭に並んでいるのを見た記憶がある。
一方、神奈川県では、1月1日~3月10日に設定。この期間は生しらすが提供されず、湘南の観光名所を訪れる際に意識していた。相模湾を中心に、ピーク時は年間600㌧を超えていたとされる漁獲量は、近年では300㌧程度まで減少しているという。しかし、神奈川県の場合、資源保護に加え、この時期に河川を遡上するアユの稚魚がしらす漁の網に混ざらないよう、保護することが目的とされる。
和歌山県では統一の期間は設けられていないが、みなべ町においては2024年に資源管理協定が設定され、年間50日以上の休漁日を設けると定められている。
地域により、その海域における漁獲量や、生態調査の結果などを鑑み、禁漁期間が設定されるなど、海洋資源を保護する流れが進んでいる。観光資源や日々の食材として重宝され、県内においては通年を通して手に入るしらす。環境に配慮することは食文化を守ることに通ずるもの。海の恵みに感謝し、持続可能なバランスを保っていきたい。(次田尚弘/和歌山市)


