谷所さん、林さんに栄誉 海南市文化奨励賞

和歌山県海南市の2026年度文化表彰受賞者が決まり、文化奨励賞にアマチュア写真家の谷所清成(たにしょ・きよしげ)さん(68)、漆芸家の林克彦さん(64)が選ばれた。2日に市役所で表彰式があり、神出政巳市長から2人に表彰状が手渡された。
同表彰は1979年から行われ、市の文化向上、発展に功績のある個人や団体に贈られる。文化賞、文化功労賞、文化奨励賞の3部門があり、奨励賞は、優れた文化の創造または普及活動を続け、市民の文化向上に寄与している人に贈呈される。
谷所さんは同市下津町出身。九州産業大学大学院芸術研究科写真専攻を修了後、番組制作会社でカメラマンとして実務経験を積んだ。退職後、故郷の下津町の加茂川を中心に、野鳥や花などの身近な自然を写真に収めて活動している。
豊かな自然を子どもたちに残したいと、ことし「加茂川の自然を守る会」を発足。自然環境の保全に取り組むとともに、写真展の開催や写真集の発行を通じて、地域の自然の魅力を広く発信している。2024年から県美術展覧会(県展)で3年連続で優秀賞に選ばれ、昨年は海南市美術展で知事賞に輝いている。
林さんは海南市黒江出身。主に蒔絵(まきえ)を専門とする漆芸家。京都市立日吉ヶ丘高校漆芸科を卒業後、漆芸家の服部峻昇さんに約10年間師事。漆器の表面に金粉などで装飾する「金蒔絵」を中心に漆芸の技術を磨き、1990年に帰郷。独立後も技術の研さんを重ねた。日本美術展覧会に4回入選した他、数々の賞を受け、2007年に「紀州漆器伝統工芸士」に認定された。
地元の素材を生かした素地作りにも取り組み「みかん盃」「ひょうたん盃」など、新たな発想で紀州漆器の魅力を広げ、23年には厚生労働省から「卓越した技能者(現代の名工)」として表彰を受けた。
表彰式で、神出市長は「培われた技術と豊かな感性、経験を持って、今後も海南市の自然と文化、紀州漆器の魅力を広く発信してほしい」とあいさつ。
谷所さんは、体調を崩したことを機に帰郷。健康のために毎朝散歩するようになり、散歩ですれ違う人たちの穏やかな日常にふれ、心の豊かさを知ったという。個展で写真を見た人から涙を流して感謝された瞬間が一番の支えになっていると振り返り、「受賞を励みにこれからも海南の美しい自然や命の輝きを写し続け、心に光をともせるような幸せの贈り物となる写真を撮っていきたい」と笑顔で話した。
林さんは「今までやってきたことが評価されうれしい。誰が見ても良いなと思ってもらえて、作品から、私が作者だと分かってもらえるものを作っていきたい。これからも上を目指していきます」と思いを新たにしていた。


