普通校を選んだ願い 則村君小学校生活スタート

和歌山県内の多くの公立小学校で入学式があり、真新しいランドセルを背負った新1年生が学校生活に夢を膨らませてスタートを切った9日、和歌山市の則村玖俐生(くりゅう)君(6)も、市立伏虎義務教育学校(同市鷺ノ森南ノ丁、十河秀彰校長)に入学。希望を胸に、学びやの門をくぐった。

ダウン症の玖俐生君の新たな門出を祝う母・麗奈さんは、入学先についてサポート体制が手厚い特別支援学校と悩んだ結果、「健常・障害の壁を越えて地域の子どもたちと一緒に育ってほしい」と願い、同校への入学を決めた。

同校でダウン症の児童を受け入れるのは、今回が初めて。サポート環境を整えるため、副校長らは玖俐生君が通う幼稚園を訪れて普段の様子を見るなど、入学前からさまざまな取り組みを行ってきたといい、同校では「ご縁があって入学してくれた玖俐生君を含め、『みんな違ってみんないい』という考えで、今後も一緒に成長を見守っていきたい」としている。

麗奈さんは「昔は障害のある子どもを隠したといわれる時代があったことを考えると、充実した福祉のもと、入学先も選択肢が多く、親としては生きやすい時代だと感じています。今後は、息子を含め、障害のある子どもたちが生きやすい時代になるように、地域の人たちにこういう子もいるんだなということを知ってもらいたい」と話す。

玖俐生君は今月から同校での学童保育に通い始めたといい、麗奈さんは「新しい友達もできたようで、毎日楽しそう」と喜び、うれしそうにランドセルに触れる息子の新たなスタートを笑顔で見守っている。

 

新1年生になった則村君㊧