虐待受けた高齢者144人 県内19年度調査

2019年度に和歌山県内30市町村で受け付けた高齢者虐待に関する相談・通報は285件(前年度271件)に増えたが、虐待と判断された事例は138件(同143件)、虐待を受けた人は144人(同147人)に微減したことが県のまとめで分かった。

相談・通報のうち養介護施設従事者等による虐待に関するものは25件で、虐待と判断された事例は5件、5人が虐待を受けていた。

虐待と判断された事例を種別(複数回答)でみると、殴る蹴るなどの身体的虐待が5件、言葉などによる心理的虐待が2件。5人はいずれも女性で、要介護度は4が2人、3が3人だった。

養護者による虐待の相談・通報は260件で、うち虐待と判断されたのが133件、139人が虐待を受けていた。

虐待と判断された事例を種別(複数回答)でみると、身体的虐待が73・4%(102人)で最も多く、心理的虐待が39・6%(55人)、預金を勝手に使うなどの経済的虐待が14・4%(20人)、介護などの放棄が8・6%(12人)、性的虐待が1・4%(2人)となっている。

虐待の深刻度は、5段階評価で3番目に重い「生命・身体・生活に著しい影響」が最多の43・9%で、次いで最も軽度の「生命・身体・生活への影響や本人意思の無視等」が36・0%に上った。

虐待を受けた高齢者の74・8%を女性が占め、要介護認定者は半数弱の43・9%、年齢別では70~74歳が25・2%で最も多かった。

虐待をした人の高齢者との関係は、息子が44・4%で最も多く、次いで夫が22・2%、娘が15・3%の順。高齢者と同居しているケースが83・5%に上った。

世帯構成は、夫婦のみが27・3%、次いで配偶者と離別・死別等した子と同居が25・2%、未婚の子と同居が23・0%だった。

虐待への対応は、34・5%で虐待者から高齢者を分離し、介護保険サービスの利用や一時入院などの措置を取った。

虐待の防止、対応に向けた市町村の体制整備などの状況をみると、独自の高齢者虐待対応マニュアルや業務指針、対応フロー図などの作成は30市町村全てが作成しており、地域包括支援センターなど関係者への研修の実施(86・7%)などは取り組んでいる市町村が多いが、行政機関や法律関係者、医療機関などからなる「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取り組み(20%)などは低い割合にとどまっている。

 

県内の高齢者虐待に関する相談・通報件数などの推移