人生の記録348句 桑島さんが第4句集『雀』

和歌山俳句作家協会副会長で、本紙俳壇選者を務める和歌山市の桑島啓司さん(80)が第4句集となる『雀』を出版した。

徳島県鳴門市出身の桑島さんは、13歳から俳句を始め、山口誓子の主宰誌『天狼』、鷹羽狩行(たかは・しゅぎょう)さんの主宰誌『狩』に参加。1987年、毎日俳壇賞受賞、2018年には第18回ねんりんピック富山俳句大会会長特賞を受ける。14年から公益社団法人俳人協会評議員を務め、19年には滝山俳句会を立ち上げ、俳句雑誌『滝山』を創刊した。

1980年に第1句集『青嶺』を上梓、その後、第2句集『滝山』(97年)、第3句集『蝉しぐれ』(2006年)を出版。本句集の『雀』は、05年9月から18年12月までに俳人・鷹羽さんが主宰する俳句雑誌『狩』(18年12月号で終刊)の入選句1048句の中から348句を自選したもの。

句集の中の1句「団栗のころがる止まるところまで」は、ドングリが木からから落ちて転がる様子を人生にたとえ、人生は沈むこともある、転がるところまで転がっていつかは止まる、そこで芽が吹いて木となり大木となる、人生も同じで止まるところにちゃんと落ち着くから、という思いが込められている。

句集の題名『雀』は、ことし2月に他界した俳句仲間の山田重昭さんが少年の頃に使用していた俳号「山田雀子」、そして妻の日本舞踊の芸名が「若柳志雀」であったことから感謝の気持ちを込めてつけた。表紙は、和歌山市の故武友正修さんが描いた絵で、桑山さんいわく「雀の声が聞こえそうな光景」だという。

桑島さんは「俳句は人生の記録、生きている証しとして作っている。その中でいくつか読んだ方の心をひきつける句があればと思っている」と話している。

1000円。句集の問い合わせは桑島さん(℡073・451・6110)。

 

句集『雀』を持つ桑島さん