本の除菌機を寄贈 紀北工生が県立図書館に

和歌山県立紀北工業高校(橋本市神野々)の「ものづくり研究部」の生徒らが、紫外線で本を除菌する「図書除菌機」を製作し、県立図書館(和歌山市西高松)に寄贈した。先月14日から同館総合カウンター近くに設置され、利用者からの評判も上々という。

ものづくり研究部は、前身の電波研究部と生産技術部が統合しできた創部7年の部活で、部員数は現在7人。昨年の夏、関東の図書館に手作りの図書除菌機が設置されたのを知った同館が製作を依頼。当時の1年生4人、2年生1人の5人がことし1月から顧問のアドバイスを受けながら作り、完成までの3カ月間、部活がある日は作業に没頭したという。

完成した除菌機は縦75㌢、横50㌢、奥行40㌢のスチール製。メンテナンスも考え、分解しやすい造りにした。

苦労したのは、紫外線を効率よく当てるため内側に貼った銀色のフィルムを合わせる作業やアクリル板に穴を開ける作業など。幼児から高齢者まで安心して使用できるよう、扉を開けると人体に有害な紫外線の光が自動停止する装置を開発。また、中が見えるよう一部を透明のアクリル板にした扉には紫外線を遮るシートを貼るなど、安全面には特にこだわったという。

本を中へ入れ、スイッチを押して10秒待つだけ。紫外線を出す蛍光灯は、扉に1本、奥の両サイドに1本ずつあり、インフルエンザの菌なども10秒から20秒程度で除菌できるという。親子で楽しんで使用している人や、衛生面を気にする人から喜びの声が届いている。

先月29日には、製作に携わった同部の村田悠真さん(3年)、片倉魁志さん(2年)、藤本喜久さん(2年)、山本晃生さん(2年)ら4人と同校長、顧問の教諭らが同館を訪問。同館長の歌保晴さんは「コロナ禍になり、他人の触ったものに対して世の中が敏感な時期。こういう除菌機を作ってもらったのはうれしい」と話し、同部部長の片倉君は「みんなでアイデアを出して作った。コロナが終息してもインフルや他のウイルスにも使ってほしい」と話していた。

 

図書除菌機の説明をする生徒たち