希望の種をまこう 和歌浦天満宮に花手水
和歌浦天満宮(和歌山市和歌浦西)は4日、新型コロナウイルス感染防止対策で使用できない本殿の手水舎(ちょうずしゃ)にアジサイの花を浮かべる「花手水」を始めた。天満宮ゆかりの鷽鳥(うそどり)のお守りも置かれ、訪れた人を華やかに迎えている。10日まで。
天満宮ゆかりの菅原道真が蜂の大群に襲われた際、鷽鳥の大群が助けたという言い伝えを元に、天満宮では前年に起きた悪いことをうそ(鷽)にして、良いことに取り(鳥)替える、鷽替え神事が行われる。同天満宮では今回、新型コロナウイルスの感染拡大を「うそ」に変え、また6月5日が稲など穂の出る穀物を植える二十四節気の一つ「芒種(ぼうしゅ)」に当たることから、希望の種をまこう、という願いを込めている。
手水に浮かべたアジサイは境内に咲いているものなどで、ピンクや白、紫など色とりどり。そばには同天満宮の小板政規禰宜(48)が手作りした木製の鷽鳥15体(約6㌢、約10㌢の2種)が並ぶ。鷽鳥の目は全て違う方向を向いており、四方八方を見張っている。木材は、2年前の台風で倒壊した稲荷社の鳥居の一部を再利用。同じ材料を使い、鷽鳥の形を模した境内案内板5体も同日設置された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、同天満宮でも参拝者が大幅に減少しているといい、小板禰宜は「ワクチン接種など希望の光も見えてきました。鷽鳥でコロナ前の生活に時を戻し、芒種で希望の種を植えられれば」と話している。