古墳時代に思いはせ 風土記で実物大埴輪作り
古墳の周囲をぐるりと囲むように立て並べる、土管のような形をした素焼きの焼き物「円筒埴輪」の実物大レプリカを作る催しが19日、和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)であった。
同施設がある特別史跡岩橋千塚古墳群は、総数800基超の古墳を擁す4世紀から7世紀にかけて造られた全国有数の群集墳。発掘調査の結果、同古墳群からは大量の円筒埴輪が出土、県内最大級の前方後円墳で首長墓の大日山35号墳は周囲を円筒埴輪の列が3重にめぐっていたことなどが分かっている。
同施設では往時の姿を復元しようと、2009年から市民参加型の史跡整備の一環として同催しを実施。15年と19年には、市民が作った埴輪のレプリカを古墳に設置する復元整備などを行っている。
この日は、同市や岩出市、兵庫県などから11人が参加。古墳時代と同じ方法で、高さ約63㌢の円筒埴輪作りに挑戦した。
材料は、同古墳群で出土した円筒埴輪の色に近づけるため、県内で採れた粘土に砂を混ぜたものを使用。ひも状にのばした粘土で輪を作り、それを積み重ね、表面を木の板で平らに整え、最後に突帯(とったい)と呼ばれる帯を付け、円形のすかし穴を開けて完成させた。
参加者たちは手を泥だらけにしながら、真剣な表情で取り組み、段々と高くなっていく埴輪をさらに高くしようと、椅子の上に立って作業する人もいた。
親子で参加した和歌山市の河野日香さん(7)は「粘土をひも状にするのが難しかったけど、楽しかった」と笑顔。約10年前から参加しているという岩出市の埴岡(はにおか)英一郎さん(55)は、「だんだんと効率よくできる方法が体で分かってくる。古墳時代の人の気持ちになって作っている」と話していた。
完成した5基の円筒埴輪は、2週間ほど乾燥させた後、電気釜で半日焼けば完成。作品は、同施設内に展示され、将来的には大日山35号墳の復元整備の際に同古墳に設置される予定だという。