県内初「国文祭」開幕 菊之助さん祝賀舞も
和歌山県内初開催となる国内最大級の文化の祭典「紀の国わかやま文化祭2021」が10月30日、開幕した。21日まで、演劇や美術、伝統芸能など約160の催しが県内各地で開かれる。初日の30日は和歌山市手平の和歌山ビッグホエールで開会式が行われ、天皇皇后両陛下がオンラインで出席された。
同文化祭は、第36回国民文化祭と第21回全国障害者芸術・文化祭を同時開催するもの。新宮市出身の文豪・佐藤春夫の詩の一節「山青し 海青し 文化は輝く」がキャッチフレーズ。
開会式には約890人が来場。式典では和歌山市出身のソプラノ歌手・斉藤言子(ことこ)さんが国歌を独唱し、同文化祭実行委員会会長の仁坂吉伸知事が「県誕生150年の記念の年に開催できてうれしい。芸術文化一色に染まる23日間となる」とあいさつ。
天皇陛下は「地域に息づく文化の価値や魅力が再認識されるとともに、多くの人々の交流の輪が新たな文化の創造へとつながっていくことを期待しています」とお言葉を述べられた。
フェスティバル第1部は、歌舞伎役者の尾上菊之助さんが祝賀舞を披露。和歌山ゆかりの演目「道成寺より~鐘ヶ岬~」をしっとりと艶やかな所作で舞った。
続く第2部は、和歌山の自然を巡りながら、文化にふれる旅を表現する、総勢およそ250人による歌やダンス、演奏のステージパフォーマンス。
和歌山市出身で東京藝術大学学長のバイオリン奏者・澤和樹さんらによる弦楽器とピアノ演奏から始まり、高野山真言宗総本山金剛峯寺の僧らが声明(しょうみょう)を披露。県立桐蔭高校筝曲部が県ゆかりの和楽器奏者らと共に情感たっぷりにパフォーマンスし、湯浅町出身の和太鼓ソリスト・嶋本龍さんは県立きのかわ支援学校高等部和太鼓部の生徒らと力強く和太鼓の音を響かせ、海南市出身の車椅子ダンサー・中瀬朱さんと和歌山バトンのメンバーは情熱的なダンスで観客を魅了した。最後に上富田町出身の歌手・坂本冬美さんが和歌山児童合唱団と共に美しい歌声を届けた。県が誇る豊かな自然と文化をさまざまな演出でドラマチックに表現し、開幕を大いに盛り上げた。