PCR検査の体勢強化 年末年始へ民間機関

人の移動が多くなると予想される年末年始。新型コロナウイルス感染症の第6波の到来や変異株「オミクロン株」の拡大が懸念される中、一般向けにもPCR検査を行う、和歌山市中之島の池内興業合同会社(池内康二代表)は、検査数の上限を増やすなど、態勢の強化を図っている。

同社は2014年に特殊清掃や遺品整理を行う企業として創業。昨年10月からは和歌山市保健所の許認可を受け、県内で初めて遺伝子検査登録を取得。新型コロナウイルスのPCR検査の事業を始めた。現在は一般向けの他、同市保健所、同市や近隣の岩出市、海南市、大阪府岬町の医療機関からの依頼を受けPCR検査を実施。厚生労働省の「自費検査を提供する検査機関」として同省のホームページで紹介されている。

11月からは、検査機器の台数を1台から2台に増やし、一日の検査数を300件から倍の600件に拡充。社内に唾液の検体を採取する専用の部屋を新設した他、ドライブスルー(軽自動車専用)検査にも対応できるよう設備を整えるなど、態勢を強化した。

通常、PCR検査の事業を始めるには、遺伝子検査の実務経験(3年以上)が豊富な臨床検査技師の確保に加え、専用の機器や感染症対策の徹底などさまざまな条件をクリアする必要がある。池内代表(38)は臨床検査技師の資格を持ち、これまでに医療機関や民間の検査会社に勤め、治験のコーディネーターなどを務めた経験がある。その人脈とノウハウを生かし、難しいとされるPCR検査事業の新規参入が実現した。

池内代表は「一般向けのPCR検査をできる機関が県内では少ない中、『濃厚接触者に該当しないが検査したい』という人からの要望も上がっていた」と話す。

厚生労働省のホームページによると、県内で一般向けに自費検査を提供する施設は5カ所(12月23日現在)。同社は唯一の民間検査会社で、一日の検査可能人数が最も多い。

同社が行うのは、無症状の人を対象としたスクリーニングを目的とする遺伝子検査。検体として唾液を採取。採取後は社内の検査室で臨床検査技師らが検査を行う。検査結果は日中であればその日のうちに判明する。費用は1回1万9800円。身近で感染者が出た人や入国後の待機期間を短縮したい人、帰省の予定がある人などの利用があるという。

同社の利用者は感染者数が上がるたびに増加。第5波のピーク(8~9月)は一日60~70件あったといい、現在は一日10~15件ほどだという。

池内代表は「今は落ち着いているが、第6波やオミクロン株の感染拡大なども今後予想される。もしもの場合に対応できるようにし、安心を提供していきたい」と話している。

受付時間は、午前9時から午後6時まで。予約優先。年中無休。

申し込みや問い合わせは同社(℡073・460・7221)。

ウイルスの遺伝子を増幅させる機器について説明する池内代表

ウイルスの遺伝子を増幅させる機器について説明する池内代表