「ど根性」桜に若葉 外務省から寄贈後切断
昨年8月に根元から切断される被害を受けた、和歌山市岡山丁の岡公園に植樹された桜に若葉が茂った。今春は開花こそ見られなかったものの、道路脇に生える「ど根性野菜」さながらの生命力の強さが来園者の心を和ませている。
桜は、市出身で明治政府の外相を務めた陸奥宗光(1844~97)の没後120年事業として、2016年に外務省から贈られた。当時、外務大臣だった岸田文雄首相から尾花正啓市長に直接、木の枝が渡された。翌年、岡公園内にある陸奥の銅像の背後に5本が植樹されたが、そのうちの1本を何者かが切断した。
根元近くからの切断にもかかわらず、間もなくして残った幹の側面から数本の枝が伸びているのが見つかった。ことし3~4月、淡い緑色の若葉がそれぞれの枝から伸びているのが確認された。
3月まで市広報広聴課長だった、奥山由佳企画政策部長(55)は切断直後から見守り続けてきた一人。奥山さんは「ゆっくりで焦らなくても大丈夫。いつか満開の淡いピンクの花を咲かせてほしい」と願っている。