舞台の成功願って 井澤弥惣兵衛の墓参り

和歌山県海南市且来を拠点に活動する劇団紀州すわん江戸村のメンバーらは8日、19日に和歌山城ホール大ホールで上演する舞台「吉宗に仕えた土木の侍 井澤弥惣兵衛」に向け、同市野上新にある井澤弥惣兵衛の墓前に手を合わせ、公演の成功を祈念した。

同劇団は、海南市にまつわる偉人や産業などを多くの人に知ってもらいたいと、「演劇で伝える」シリーズを上演している。第1弾は同市出身の小野田寛郎少尉を題材にし、今回が第2弾。

井澤弥惣兵衛は江戸時代に溝ノ口村(現在の同市野上新)に生まれた。農民から紀州藩士となり、大畑才蔵と共に小田井用水や亀の川の改修、亀池の築造に携わった。この功績が徳川吉宗に認められ、幕府の役人として見沼代用水路(埼玉県)の開削などを担当。紀州流土木工法の始祖として、高い評価を受けた。

この日、同劇団ら12人は、弥惣兵衛の子孫である井澤佳代さん(81)と共に弥惣兵衛の墓を訪れ、上演報告をし、手を合わせた。

墓参りを終え、弥惣兵衛の青年期を演じる市川福介さん(30)は「弥惣兵衛さんの名を汚さぬよう精いっぱい努めますとあいさつできた。功績を皆さんに伝えていきたい」と決意。佳代さんは「ありがたい気持ちです。先祖に舞台の成功を祈った。頑張ってもらいたい」と笑顔で話した。

その後、メンバーらは弥惣兵衛ゆかりの神社、野上八幡宮(紀美野町小畑)に移動し、同宮に保管されている弥惣兵衛直筆の寄進状や弥惣兵衛を描いた宝物などを見学。薮洋平宮司から、宝物により分かる背景や当時、身に着けていた物などの話を聞いた。市川さんは「知って演じるのと知らないで演じるのでは全然違う。知識を深め生かしたい」と意気込んだ。

井澤弥惣兵衛の墓に公演の成功を祈念するメンバーら

井澤弥惣兵衛の墓に公演の成功を祈念するメンバーら