甘さに自信 海南「高津の桃」シーズン

和歌山県海南市の高津地域で栽培され、あまり多くは出回らない希少な桃「高津の桃」がシーズンを迎えた。生産者でJAながみね桃部会の北原欣治部会長(69)は「ことしの出来は小ぶりだが果汁たっぷりで甘みが強い。海南の桃をぜひ味わってほしい」と話している。

北原さんの農園は先祖代々、桃農家を営む。広さ約7500平方㍍の丘陵地に300~350本の桃の木があり、水はけの良い赤土で白鳳と日川白鳳、八幡白鳳、清水白桃、川中島白桃の5種類を育てている。

北原さんは、甘さの追求に妥協はしない。桃の甘さは土の養分が大きく影響するといい、「土は作ることができない自然のもの。高津の桃は甘くて他には負けない自信がある」と話す。
同農園では、3月末ごろ花が咲き、摘果し最終的に1枝に1実を残す。高齢でも作業しやすいよう、桃の木は低木に剪定(せんてい)しているため1本の木から100~150個しか収穫できない。

農家が減少していることから、桃部会のメンバーは16組。平均年齢は75歳前後だといい、北原さんは若手になる。桃農家としてやっていくには3年から5年ほどかかるそうで「今、若い力や後継者を育てないと。高津の桃がなくなってしまう」と年々、収穫量が減少していることに危機感を募らせる。

北原さんは「まずは海南の人に高津の桃を知ってもらいたい。桃農家に興味がある人が出てきてくれたら」と話し、「灯は絶やさぬよう、組合一同努力して作り続けていきたい」と願っている。

現在は早生の日川と八幡が食べ頃。7月初旬からは白鳳、清水白桃が続き、8月初旬には川中島白桃が収穫のピークを迎える。8月まで木に実る川中島白桃の糖度は15~18度になり、甘くてジューシーな桃が味わえる。高津の桃は、同市重根のファーマーズマーケットとれたて広場で購入できる。

「海南の桃をぜひ味わって」と北原さん

「海南の桃をぜひ味わって」と北原さん