海の事故ゼロ目指し 救命胴衣着用などPR

海上保安庁が「海難ゼロへの願い」をスローガンに、行政機関と民間の関係者が一体となって海難の未然防止を図る「海の事故ゼロキャンペーン」が16日、始まった。31日まで。和歌山海上保安部と海南海上保安署では、広報活動や安全啓発活動、海上パトロールなどを通じて海の事故防止を呼び掛ける。

同海保によると、県内で発生した昨年の海難は、船舶事故82隻(前年比15隻増)、人身事故54人(同21人増)といずれも前年より増加。コロナ禍でプレジャーボートによるレジャーが活発になり、船種別ではプレジャーボートが65隻と全体の約8割を占めている。

また、人身事故はサーフィン中が15人(同8人増)、釣り中が12人(同7人増)と大幅に増加。釣り中の事故ではうち5人が死亡、2人が行方不明となっている。

和歌山海上保安部では15日、和歌山市築港の和歌山港湾合同庁舎で出陣式を行い、山下雄一郎海上保安部長が「事故により悲しい思いをする人を生み出さぬよう、各関係機関と一致協力して海難ゼロへの願いを実現してまいりたい」と訓示。同市の四天王寺大学4年の越野聖奈(せな)さん(22)を一日海上保安官に任命し、任命状とタスキを交付した。越野さんは「海上保安庁の一員として海の事故ゼロキャンペーンの一翼を担えるよう頑張ります」と笑顔で抱負を語った。

越野さんらは巡視艇きいかぜに乗船し、雑賀崎漁港へ移動。船内からマイクを使用し、防波堤の釣り人らにライフジャケットの着用などの安全指導を行った。

その後、同市吹上の県庁前交差点では、同海上保安部職員らが徳川吉宗公像にライフジャケット(救命胴衣)を着せ、ドライバーや通行人に着用を呼び掛ける横断幕を設置。

越野さんも通行人にチラシを配布するなど啓発活動を行い、「貴重ないい経験になった」とにっこり。「毎年、水難事故のニュースに心が苦しくなるので、ライフジャケットを着用したり、体調管理をしたりして気を付けて楽しんでもらいたい」と話した。

同海保の増田直之交通課長は「海に落ちた時に海面に浮くことができると、生存率が確実に上がる」と強調。「ひと手間で命が助かると思えば簡単なこと。ライフジャケット着用の重要性を認識し、正しい着用方法で救命胴衣を着け、笑顔で楽しい思い出づくりをしてもらいたい」と話した。海での事故発生時は緊急ダイヤル、局番なしの「118」番へ。

釣り人に救命胴衣着用を呼び掛けた

釣り人に救命胴衣着用を呼び掛けた