和歌山舞台の化石マンガ 自然博でコラボ展
和歌山市出身のマンガ家、関口太郎さん(52)原作で、有田川町を舞台に、高校生が化石を発掘する青春マンガ『君はスキノサウルス』の単行本発売を記念した展示が22日、海南市船尾の県立自然博物館で始まった。初日には関口さんが来館し、サイン色紙と単行本第1巻を寄贈した。
関口さんは1989年にヤングマガジン海賊版でデビュー。『WILD BASEBALLERS』(週刊少年マガジン)、『帝王』(ビックコミックスピリッツ)などを手掛けている。
今作は月刊少年マガジン(講談社)に連載中で、14日に単行本1巻が発売されたばかり。主人公の菊本薫が同町の高校に転校し、古生物部部長の白石椛と出会ったことで物語が展開していく。
作品には、湯浅の海岸や化石の産出地として有名な同町の鳥屋城(とやじょう)山、金屋中学校など実在する場所が描かれている。同館や同館学芸員も登場することから、同館が関口さんとのコラボレーション展示を決めた。
関口さんは小学生の頃に金屋町(現有田川町)にある親戚の家によく遊びに行っていたといい、親戚が持っていた化石がうらやましく自分でも発掘したいと同山で採集したそう。「骨みたいなのを発見した時はドキドキした。誰もが小学生の頃、夢中になったものがあると思うが、いつの間にかその思いも化石になっている人も多いのでは。今回の展示が、その気持ちを掘り起こしてもらうきっかけになれば」と話した。
式では、関口さんが和田恵次館長にサイン色紙と単行本第1巻を贈呈。「和歌山に少し恩返しができたかなと思う」と話し、和田館長は「化石の探索の面白さが発信されている。多くの読者が和歌山や博物館に注目する機会を与えてくれた」と感謝した。
今回のコラボレーション展示では、作中で登場したアンモナイトの仲間であるバキュリテスなど、7点の化石や同館の登場シーンなどを紹介。サイン色紙と単行本も併せて展示する。9月4日まで。
この日は、本の購入者を対象にしたサイン会も行われた。関口さんのマンガのファンで、大阪府の千早赤阪村から5歳の息子と参加した40代の男性は「子どもは恐竜が好きなので、一緒にマンガを読みたい」と笑顔だった。
同館の学芸員とのトークイベントもあり、関口さんが小学3年の頃に発掘した化石についてや、マンガの制作秘話などが紹介された。