ハイリスク者に重点化 感染者が病状入力

和歌山県は5日、新型コロナウイルス感染者の症状や基礎疾患の有無などの情報を、陽性者が自らウェブフォームで入力するシステムの運用を始めた。感染急拡大に伴い保健所の業務が逼迫(ひっぱく)しているため、疫学調査の負担を軽減し、重症化リスクの高い感染者の対応に重点化する。

新たなシステムでは、ショートメッセージ(SMS)の送付で感染者へのファーストタッチ(最初の接触)を行い、自力で入力できる感染者は、フォームから症状や基礎疾患、行動履歴、自宅療養の食料配布希望などの情報を入力する。健康観察は、厚生労働省のシステム「マイハーシス」を使用して行う。

2歳以下、60歳以上、基礎疾患がある人、症状悪化がみられる人に対しては、従来通り保健所から電話連絡し、疫学調査を実施。重症化リスクの高い人への対応に重点化し、優先的な療養先の調整などを図る。

疫学調査の負担軽減を図る背景には、入院対応医療機関の厳しい現状が大きな要因としてある。

県が示した8月上旬のある日の入院患者の年代別割合は、80代以上が54・0%、70代以上を含めると76・1%に達し、重症化リスクが高く、介護を要する場合が多い高齢者の入院が大半を占める。

一般医療では入院患者7人に対し少なくとも看護師1人が必要とされるが、介護を要する患者であれば、必要な看護師の数は増え、新型コロナの重症者であれば、看護師1人が担当できる患者は2人程度までという。

県内の新型コロナ対応病床の使用率は現状約70%だが、看護師が不足しており、ほぼ限界に達している。

県福祉保健部の野㞍孝子技監は、病床をこれ以上使用すると、「重症化した患者を受け入れられなくなる。非常に厳しい現状だ」と話している。