読書文化の醸成へ 県社会教育委員会議が提言

和歌山県社会教育委員会議(藤田直子議長)は、県教育委員会が諮問した「読書文化の醸成に向けて~生涯にわたり読書に親しむために~」の審議内容を提言にまとめた。子どもが本に親しめるように、発達段階に合わせた大人の関わり方などを提案している。24日、藤田議長が県庁を訪れ、県教委の清水博行教育企画監に提言を手渡した。

同会議は2020年11月から22年6月にかけて6回の会議を開き、12人の委員が諮問内容を審議。県民の読書文化の醸成には、家庭教育、学校教育、社会教育が連携しながら具体的な読書活動を展開することが必要であるとし、「子どもの発達段階を考えた読書活動の在り方」「大人が今すぐ取り組める読書活動の在り方」を検討した。

提言では、乳児期は絵本を介して身近な大人とふれあう時期であることから、家庭で赤ちゃんに絵本との出会いをつくり、地域で親子が本と出会う機会をつくることなどが大切としている。

幼児期から小学校低学年は、保育所、幼稚園や学校などで集団生活を始める時期であり、家庭での読書の楽しみに加え、教師や地域のボランティアらが子どもたちに読み聞かせをし、読書をきっかけに学校と地域がつながり、皆で子どもの読書環境をつくることができるとしている。

小学校高学年から高校生は、自らの意思で本や物語に関わる時期であり、ビブリオバトルなど読書を通して仲間と交流する機会を増やすことをはじめ、インターネットや電子書籍を「読書へ誘うツール」として活用すること、居心地の良い図書館の整備、皆が使える本棚の設置などを提案している。

大人に対しては、絵本を楽しむこと、すぐに手を伸ばせるところに本を置くこと、大人が本を読む姿を子どもに見せること、親子で本とふれあう時間をつくることなど、10項目を呼び掛けている。

藤田議長は「読書文化は豊かな人生につながり、本は人との関わりを仲介してくれる。発達段階に合わせて大人がどう関わるか、自分の役割は何かを読み取ってもらえたら」と話し、清水教育企画監は提言に感謝し、「子どもの読書への関心を高めることは大事という気持ちを県民に持ってもらいたい」と話した。

県教委は提言の要点を写真やイラスト入りで見やすくまとめたリーフレットを作成し、県民への啓発に活用する。

 

提言とリーフレットを手に藤田議長㊧、清水教育企画監