近畿初のがん治療機器導入へ 和歌山県立医大
がん診療体制を強化するため、県立医大(和歌山市紀三井寺)は本年度、がん細胞に集中的に放射線を当てて治療できる最先端の治療機器「トモセラピー」を導入する。大学病院では全国で2番目、近畿では初めて。同大の板倉徹理事長は6日の記者発表で「和歌山のがん死亡率は大変高い。研究や臨床面はもちろん、最新の設備を整えることで、一人でもがんで亡くなる人を減らしたい」と話した。
板倉理事長らによると、放射線を使った治療装置「IMRT」は従来、がん細胞以外の部分にも放射線が当たり、他の組織に副作用が出たという。例えば前立腺がんであれば、直腸や生殖器に影響が出ていた。
トモセラピーは、がん細胞に集中的に放射線を当てることができ、放射線の照射時間も10分程度と、従来のIMRTより短縮され、体への負担を軽減できる。前立腺や肺、子宮などのがんに適用できるという。
また同大では、がん診療体制の充実を図るため、同大の病院棟の東側に新棟を建築する。新棟は、鉄骨コンクリート造地上5階建て、延床面積約5200平方㍍。増築に伴い、手術室が12室から19室に、内視鏡センターが5室から9室に拡充される。3階には、地域の医療機関に勤務する若手医師の研修の場「地域医療センター」を設ける。本年度に着工し、平成26年4月の竣工を予定している。
この他、県の補正予算で、本年度中に、通常の手術では切除不可能な部位の安全切除が可能になる「手術支援ロボット」の導入を目指す。
県の22年度のがん死亡率は、全国4位となっている。