不起訴で不服申し立て 多重事故遺族が会見

昨年7月、和歌山市の紀の川大橋北詰の県道交差点で起きた多重事故で、危険運転致死容疑で逮捕された50代の女性が不起訴処分になったことは不服として、事故で亡くなった同市の竹田汐里さん(当時22)の両親が21日、来月にも和歌山検察審査会に審査を申し立てる意向を明らかにした。

事故は7月15日午前10時ごろに発生。50代の女性が運転する乗用車が前方の車に追突したり、弾みで対向車線にはみ出すなどして車両6台と原付バイク1台が絡む多重事故となり、原付バイクを運転していた汐里さんが亡くなった。

県警は50代の女性に持病のてんかんの発作が生じ、事故を起こしたとみて逮捕したが、和歌山地検はことし8月、不起訴とした。

弁護士と共に会見に臨んだ汐里さんの父、竹田正義さん(57)は冒頭、「起訴だったら、この場はなかったです」とひと言。「被害者参加制度を使い、直接裁判所で加害者を問いただすつもりだった。起訴を信じた1年間だった」と悔しさをにじませた。

会場には幼少期や成人式での振袖姿の汐里さんの写真が飾られ、正義さんは時折、天井を見上げるように涙をこらえながら、ムードメーカーだったという汐里さんとの思い出を振り返った。「彼女自身あったかい家庭を築くことが一番の夢だったと思います」とこぶしを握り締め、声を絞り出した。

記者会見に臨む竹田正義さん㊧

記者会見に臨む竹田正義さん㊧