災害時段ボールベッド提供 和市のオカジ紙業

和歌山市は9月29日、段ボール製品の企画、製造、販売などを手掛けるオカジ紙業㈱(同市西浜、大岡久起社長)と、大規模災害時に避難所で活用する段ボールベッドなどの提供で協力する協定を締結した。

大規模災害時は、避難所での良好な生活環境やプライバシーの確保が重要であり、有効な方法として、段ボールベッドや段ボールの間仕切りの設置が近年、拡大している。

東日本大震災の当時は、事業者が段ボールベッドの提供を申し出ても、受け入れの枠組みができておらず、あまり活用されなかったが、全国段ボール工業組合連合会が自治体との連携を進めた結果、活用が広がり、熊本地震では約5300台、西日本豪雨では約3900台の段ボールベッドが避難所に提供された。

今回の協定では、災害により甚大な被害が発生した場合や発生の恐れがある場合に、市の要請に基づいて、同社が段ボールベッドなどを優先的に供給する。

災害の範囲や被害の程度などにより同社単独での供給が難しい場合には、同社が加盟している西日本段ボール工業組合を通じて、生産可能な周辺地域から供給される体制が構築されている。

県内では、県と同組合が2017年に同様の協定を締結。同社はさらに、県内市町村との個別の協定を推進し、海南市や紀の川市、紀美野町などに続き、今回の和歌山市が8市町目となった。

締結式は市役所市長室で行い、尾花正啓市長と大岡社長が協定書に署名した。

尾花市長は、南海トラフ巨大地震の発生確率が40年以内に90%とされていることにふれ、「避難生活が長期化する場合にも備えて、環境を快適にし、充実させることが重要であり、段ボールベッド、間仕切りの提供は大変心強い」と感謝。

大岡社長は「災害の発生が多くなっており、段ボール業界として自治体との協定を進めている。災害時に必要な数を用意できる枠組みはできている」と述べ、同社として個別の協定を結ぶことで「災害時によりスピーディーに動くことができる」と締結の意義を語った。

締結式の会場には段ボールベッド一式が用意され、尾花市長は大岡社長から説明を受け、市職員が丈夫さや寝心地などを確認した。

丈夫な段ボールベッドに座り協定書を手にする大岡社長㊧と尾花市長

丈夫な段ボールベッドに座り協定書を手にする大岡社長㊧と尾花市長