体験通し農家に感謝 山口小児童が稲刈り

和歌山市里の市立山口小学校の5年生37人は18日、同地区連合自治会のまちづくり協議会が運営する学童農園で稲刈りを行った。児童らはことし5月にもみをまき、6月に田植えも体験。協議会メンバーが虫よけや草引きをしながら大切に育ててきた。

田植えの際に児童らが「大きくなーれ、おいしくなーれ」と声を掛けた稲は、腰や胸ほどの高さに成長しており、同自治会の平岡卓治会長(60)も「質量ともに例年になく大豊作」と笑顔を見せた。

この日、児童らはJAわかやまの職員から鎌の使い方や稲の刈り方などを教わった後、早速稲刈りに挑戦。刈った稲は5株まとめてわらで束ね、「はぜかけ」という物干し竿にぶら下げていった。

谷口和眞さん(11)は初めての稲刈りに「力が要って結構きつい」と汗をぬぐい、「田植えをしてから農家さんって大変だなって、ご飯を食べる時とかにすごく感謝するようになった」と話した。

同校の川畑豪則(たかのり)校長(55)は「リアルな体験はすごく大切。食育はもちろん、山口地区に多い第1次産業の魅力も体験してもらって、今後将来に生かしてもらえれば」と期待。

児童らは収穫した米を11月の「加太合宿」で味わう予定とし、谷口さんは「どんな味かなって楽しみ」と心待ちにしていた。

積み重ねが伝統に 食育教育とかかし

米作りは、同協議会が児童らに農業を体験してもらおうと始めたもの。にぎわいづくりのために農園内に飾られるようになったかかしとともに恒例となり、7年目を迎えた。

かかしは地域の子どもや大人、各種団体が協力して制作。ことしはキャラクターやおばけ、鬼などバラエティー豊かな計22体がずらりと並び、道行く人の目を楽しませている。

恒例の〝おばあちゃんシリーズ〟のかかしも登場。同シリーズのかかしは、同市梶取の総持寺の松尾孝龍(こうりょう)貫主がスタート時から毎年手掛けているもので、地域の1人の女性をモデルにリアルな姿が反響を呼んでいる。

ことしは、北京で開かれた冬季オリンピックでスキージャンプの小林陵侑選手が金メダルを獲得した功績をかかしに反映。おばあちゃんもリアルな体勢でジャンプに挑戦する姿が目を引く。

松尾さんは「面白いことを考えていったら輪が広がる」とほほ笑み、平岡会長は「地域が活気づいてきた。今後は若い世代に引き継いで、山口地区の伝統になっていけば」と願っている。

ことし創立150年を迎える同校では11月6日、周年祭とともにコロナ禍で中止となっていた地区の文化祭が開かれる。当日はかかしコンテストや、同農園で収穫した米の販売なども行う予定となっている。

かかしが地域のにぎわいに

かかしが地域のにぎわいに