県内で栽培のブランド品種「平核無柿」
前号では、国内栽培量の半分以上が県内で栽培されている「刀根早生柿(とねわせがき)」を取り上げた。今週は刀根早生柿の元となる品種である「平核無柿(ひらたねなしがき)」を紹介したい。
平核無柿は新潟県産の柿で、山形県の農家が仕入れた苗木の中から偶然にも種ができない品種を見つけた。それを育成し、庄内地方で「庄内柿(しょうないがき)」として広がったとされる。庄内柿の原木は新潟県の文化財に指定されている。
平核無柿も前号で紹介の刀根早生柿と同様に渋柿であることから、炭酸ガスなどを用いて渋抜きが行われてから出荷される。果実の大きさは250㌘程度で、形は偏平で角ばっているのが特徴。果皮は橙色で光沢がある。食してみると甘味が強く果汁も豊富。果肉は硬くなく、種もないので食べやすい。
平核無柿の中で、400㌘以上もある特大のものを出荷している事例がある。栽培しているのは和歌山県の農家で「クイーンパーシモン」と名付けられている。一般的な柿と比べると非常に大きく、食べ応えがあり、和歌山県のブランド柿として知られている。
農水省統計(2019年産)によると、栽培面積の第1位は山形県(670㌶)、第2位は和歌山県(395㌶)、第3位は新潟県(382㌶)で、発見された東日本地域での栽培が盛んでありながら、和歌山県が第2位にランクインしている。
収穫時期は和歌山県内では10月中旬ごろ~11月中旬ごろ。食べ頃としては12月上旬まで楽しめる。一般的なサイズの平核無柿も良いが、特大サイズのクイーンパーシモンもおすすめ。ぜひ食べてみていただきたい。(次田尚弘/和歌山市)